文鳥瓦

　うちの近所には珍しい鳩の飾り瓦が据えられたお屋敷がある。普通の瓦に実寸大の鳩がのった形で五羽くらいいるのだけれど、手作りによる誤差でほんの少しずつ様子がちがい個性があるように見えて大変可愛い。鳩瓦を眺める度に文鳥瓦もあったらなと想像するのですが、文鳥やくざの夫に言わせるとたとえ飾り瓦であろうとロストだからよくないらしいです。「ならケージごと瓦にしたら」「冬が寒い、ひよこ電球もいる」「乾燥対策の濡れタオルも」「でも夏だと」あれも必要これも必要……と討論の末、最終的にはおやすみカバーも必要ということになり、文鳥は心の目で見るしか無い四角い飾り瓦が想像の中での完成形となりました。日常の何ということはない話ですが、鍾馗さんのように勇ましくカルルしている文鳥瓦がやっぱりあったらいいのになぁ。