アンミナプロット風-2

絵空事。
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3.

にいさん!絵本を読んで!

また?好きだなあ。この本はもう読めるだろう?

にいさんに読んでほしいんだもん

しかたないなあ。分かったよ。

兄さんと2人、貧しいけど幸せだった。

優しい親友とその家族。

優しい、優しい兄さん。

でも。兄さんは、教会にだけは絶対に行かなかった。

「まだ仕事が残っているんだ」

「でも…」

「いいんだ。行こう」おじさんが、俺の手を引く。

次第に抗争が激しくなり、大人達は遠くの街の戦いに駆り出されるようになった。この町に届く前に、戦火を抑えるためだ。金にもなる。

大人達を見送る時、兄さんは何処を見ていたんだろう。俺には向けない眼が、俺は怖かった。

そして俺達は町を捨てた。

兄さんはいくじなしだ。俺は兄さんをなじった。

兄さんは俺に触れなくなった。

俺に読み書きを教えながら、兄さんは仕事に行く。

最初は煙突掃除やゴミ処理だった。俺も働くというと、兄さんは困ったように笑うんだ。

ある時から、怪我をしたり、ひどく憔悴して帰るようになった。危ないことをしないで欲しいと、俺が言うと、大丈夫だと笑う。

俺は学校に行けるようになった。

兄さんは上等な服を着て、高級な車に乗って出かけるようになった。何日も帰らない日もあった。「ごめん」と目を細める。

女友達は笑顔が素敵と騒ぐけど、俺には兄さんの笑顔が見えなくなった。

そして聖地から迎えがきた。

兄さんは、やっぱり笑っていなかった。

俺は、兄さんの笑顔が、優しい手が好きだったんだ。伝えられるのは最後かもしれない。

「兄さん。愛してる」手を伸ばす。

兄さん。確かに俺は、あなたに守られていた。でも…俺もあなたを守りたかったんだ。

この気持ちを言葉にできる時がきたら、手紙を書くよ。どうか、兄さんが守られる勇気を取り戻せるように、俺は空に願うよ。

@esoragoto
紫乃の描き散らし。