数日前、窓から外を見ていて思い立って出かけた。
私のリビングから見えるのは西の空。
遠くに見える景色を見て、これは見逃しちゃいけない!と思った。
急いで自転車を飛ばして宍道湖畔を目指し、湖畔までの大通りを綺麗な空を真正面に走っている時点でわくわくしてた。
最後の交差点を渡って、急いで自転車を止めて、急いで自転車を降りて、くるっと空と湖の方を見て、感動した。
湖畔に座って、「これはなんだ?」という疑問だらけの頭で目の前の綺麗な光景を眺めた。
人間、信じられない景色に出会うと現実感を失うのか、
知っているもののはずでも、これは一体何なのかと、まるで初めて何かに出会った時のような幼心のwonderでfullな状態になる。
そう、グランドキャニオンを見下ろした時のような、あの不可解な感じ。
自分が知っている世界、自分の中の常識が壊れていっているってことなのかもしれない。
目が慣れてきて、これは現実なんだとよくよく理解したら、
まだ越してきて20日でこれを言うのは気が早いかもしれないけど、
一生ここに暮らしたいと思った。
真正面に陣取ってしばらく眺めていた。
写真では音のない世界のように感じるけれど、実際にはあちらこちらにと、何かを呑みながら、喋りながら、私と同じように眺めている人がいた。
綺麗な景色は一人で見るだけでなく、多数の中の一人として見ることに良いところもある。
一人だけど、周りと同じようにこの景色を堪能していて、
一人だけど、同じものを礼賛する仲間のような気がする。
途中サンセットクルーズ船だろうか、通っていって、
静かな湖に波を起こしていたけれど、それもまた綺麗だった。
帰ってご飯作らなきゃ、と、心を鬼にして背を向けてまた自転車で帰った。
向こう何年かはこの景色を思い立って見にこれると思うと、
松江に転勤になってくれた夫にでかした!と言ってあげたい。