松江に住み始めて数週間。
今のところ唯一の欠点をお伝えしよう。
とにかく松江には和菓子屋が多すぎるのだ。
これに尽きる。
それはどういうことかというと、
お店が気になって自転車がスムーズに走らないことになり、
ショーウィンドウに引き寄せられることになり、
自分の貪欲さがむくむくと顔を出し、
自分の財布の紐と日々とっくみあいをするということである。
何年か住むんだろうから、まだこれからも買えるでしょ!
と自分に言い聞かせても、
本能の「美味しそう!」が横からひょっこりと顔を出す。
なかなか面倒な街だ。
自分の欲望との闘いを余儀なくされる。
私事だが、私は日本生まれではない。
父の仕事の都合で住んでいた海外で生まれている。
「外国生まれなのに、好みがおばあちゃんだよね」
仲良しの友達に言われたことがある。
一緒に出かけていて、パフェでもケーキでもドーナツでもなく、
『あそこのぜんざい食べたい!』
と言った時のことだった。
一般的な若い女性である友人は可愛い、おしゃれなスイーツが好きで、ぜんざいがいいと発した私に面白困りながら突っ込んだのだと思う。
彼女の言葉に『確かに都昆布とボンタンあめめちゃくちゃ好きなのよねー』
と返事をしたら、
「ほんとにおばあちゃんじゃん!」
と更に笑われた。
高校生の時のこと、
友達とカラオケに行き、みんながソーダやジュースを頼むのに、私だけ梅昆布茶を頼んだ時も笑われた。
しかも何度も壁掛けフォンから注文するもんだから、今頃裏で笑われてるねと私を含めてみんなで面白おかしがった。
念の為言っておくが、私はコーンシロップどっさりの着色料三昧お菓子だって好きだし、
レモネードもブルーベリーマフィンもカップケーキもクランベリージュースもアップルパイも全て大好きである。
でも小さい頃ほぼ一切食したことのなかった、
求肥やだんごやぜんざいやあんこや柚餅子や水羊羹やういろうや抹茶味のお菓子やなんやかんやと、とかく和のお菓子に弱い。
はて、私の中の外国人的部分が外国人的目線で異色のものとして好きなのか、
私の中の日本人的部分が日本人的目線で伝統として好きなのか、
自分でもわからない。
とりあえずだ、松江には和菓子がたくさんあって喜んでいる。
いっそのこと、この山陰探検記の一部を、松江の和菓子探検記及びレポートにしてやろうか。
山陰良さを発信したいことを一つの理由として書き始めた記録なので、
松江の和菓子の賞味記録もいいかもな。
血が騒ぐぜ。
こんなに近くに和菓子屋が多い松江は誘惑多い街である。
松江の明白な難点である。
私にとっては至高の難点である。