まず冒頭に書いておこう。
「この記事は特定の誰かの話をしてるわけじゃないので勝手に自分のことだと勘違いして一人称で返信を書こうとしないこと」
X(Twitter)に「こじらせた特性持ちの衝突事故」みたいな話が立て続けに流れてきていてぐええという気分になっている。ぐええ。
特性持ち・・まあ発達障害傾向の強い人物の話だと思っていただいていい。昔は「アスペ」とか言われていたがニュアンスがあれになってきたので使わなくなった。ASDとADHDの別とか併発どうのとか細かい話はしない。
自分は諸々の事情でこういう特性持ちとの付き合いが長い。まず本人にも傾向があり家族にいて友人にいて部下・同僚にいたことがあり、客先担当者にいてチームメンバーにいて、仲良くつきあっている人間もそうでない人間もいて、育成したこともあるしお祈りしたこともあるし現場から叩き出したこともあり、当然だが叩き出されたこともある。とりあえず初対面でもなんとなく見分けがつく程度に見分けがつくし、それなりに対応方針とケースに応じた対処と対策がある。そんな前提での話でをする。
「臭い部下」の話
ぐええってなったトピックの1つめ。
職場で"部下の体臭"を指導してる人のアドバイス「服が臭う」「風呂は効果ない」 - Togetter
この部下は特性持ちの可能性が高い・・・・割と高確率で・・・・・。
別に発達障害だと臭い、というわけではない。
「自分が他人からどう見えるか」が認識・理解できない
他人に不快感を与えない外見を維持する必要性が理解できない(「他人の気持ち」とかわからないので)
洗濯が苦手(手数・手順が多いので・先送り癖でため込みがちになる)
服を捨てるタイミングがわからない。よれよれのまま使い続けがち(まだ使えるので・別のものにしたくないので・モノを捨てたくないので)
嗅覚がにぶいので「部屋干し臭が不快」というのがよくわかっていない
「くさい」というのが具体的に何なのかよくわかっていないので「ファブリーズをかける」という行為で呪術的に解消しようとする(おまじない・お祓い的な行動)
Toggetterにもまとめられているが、「くさいから何とかしろ」というのは本人が「くさい」が具体的に何で、どこがどう問題なのか理解できないのでどうにもならず、かつ「何とか」のところもよくわからないので、具体的な手順で指示してやらないと無理。そういう意味で「服を捨てろ、買い直せ」というのは有効な指示だ。
「金をかける」というのがたぶん最終的な解になる。労働時間含む外干しできる環境か、カビない室内洗濯機と部屋干ししても生臭くならない家賃のかかった部屋、襟汚れがはっきり視認できる明るい照明、洗濯サービスが利用できる可処分所得、洗濯乾燥機を維持運用できる収入でもいい。あとはよれてくたびれてきた服を一括で買いなおしできるのに十分な収入と、服が買える手段と場所。
「節約」とか「倹約」というのは基本的に発達障害とものすごく相性が悪い。家事や生活を十分まかなえるほど認知資源が無いのにさらにそこに「判断」とか持ち込んでうまくいくわけがない。「ミニマルな生活」には常に家庭内の在庫状況と消耗品の更新タイミングを把握していないとならず、どう考えてもバーストする。
ついでにできないことをアウトソースする=金がかかる、である。家人にやってもらう、というのは人間関係が必要になる。ほかの誰かを犠牲にして何とかするのは何とかなっているとは言わない。
で、ここまでの話を踏まえて。本人には必要性が理解できないので、「服と生活に金をかける」⇒「なんで?」になりがちである。この話が状況改善につながるどうかは言う人間と言われる人間の信頼関係にかかっている・・・「なんでそこまでしなきゃいけないんだお前に」というのはお互いの話だ。会社なら「そこまで頑張るより最初からこういうタイプ採用しないほうがはやくない?」というのは常にある。
典型的なパターンの話として、採用とかでお祈りすると発達当事者は「みんな自分を認めてくれない!自分が発達だから社会に阻害されている!!」とか悲嘆に暮れるわけだが・・・採らない/いれないのは「お前が特性持ちだから」ではなく「お前に相手に寄せる気が無いから」だよ。言葉通じない&学習する気も変わる気もない相手を延々対応させられたら既存のメンバーが疲弊しちゃうだろ。「発達障害だから無条件に配慮してください」っつーのはコミュニティへのフリーライダーなんだよ。お前も寄せろ。できないのはできないのでわかってるから、まず寄せる姿勢を見せろ。
「オーバードーズで運ばれた人」と「推しにブロックされた人」の話
ぐえええええってなったトピックのその2。
2件分というか2人分+αなんですが。
まずは発達障害ライフハック本が売れてレスバで恫喝して裁判で揉めててオーバードーズで運ばれたりした人の話から。
このはてなブログの経緯まとめは超力作だと思うけど中身はいったん触れません。で、という話。
これは発達障害者各位ほんとうに気をつけて欲しいんだけど、ああいう「劇場型虚言」って我々の特性と滅茶苦茶シナジーあるので、窮地に陥ったりコンプレックスで苦しくてもやらないようにしよう
健常者はそんなモンに騙されてくれないし、逆に指弾もしてくれないから
余計に馬鹿にされるだけだから
発達障害って頭のメモリが基本的に足りない症状だから、むしろウソをつくって行為は苦手な側に属するんじゃねって思ってしまった。
少なくとも自分はそっち側だし、パッと虚言が吐けるってのは発達だからじゃなく、それを習慣にして来たからだと思う。
劇場型虚言は発達障害の症状ではないと思われ…
https://twitter.com/analgbgb45rsk/status/1777139725566152871
「劇場型虚言はパーソナリティ障害で、虚言癖は発達障害の症状ではない」、これは正しい。「発達障害は頭のメモリが足りないからウソをつくのが苦手」、これはこの文脈では違う。そういうレベルの「整合性のとれたちゃんとしたウソ」の話ではない。1番目のポストのスレッドを追いかけると書いてあるが、特性持ちには一定数「聞けばすぐにわかるその場しのぎのウソをつくやつ」がいる。
むしろ頭のメモリが足りないからこそ、前後の整合性も辻褄もなく、ただその場しのぎだけで発言するのは「直接の症状ではないが特性持ちに割とありがち」なタイプだ。「理想の自分」と「現実の自分」の区別がよくついてない(比較対照して自省できるだけのメモリもない)ので自分が言っているのがウソだという自覚が薄く、その場その場で言っていることが変わり、理想の自分像にも発言内容にも整合性がなく一貫性もない。ぐええ。
通常、虚言癖を持つ人は目立ちたがり、わがまま、プライドが高いなどの性格であることが多いと言われていますが、ADHDの子どもに虚言癖が見られる場合は、そうではなくADHDの特性から以下のような理由で嘘をつくことがあるといわれています。
本人は嘘だと思っていない
叱られることを避けたい
注目されたい
平常時はそこまでではないものの、追い込まれる(追い込まれたと本人が認識する)と回避行動としてあることないこと言いはじめるタイプもいる。弊業界では「進捗報告で詰められると突然デタラメ言い始めるタイプ」として割とよく観測される。「会話の相手に期待されていることを言おうとしている」だけなので本人に「嘘をついている」という自覚はなかったりする(むしろ「あなたが期待する回答を自分が出そうと頑張っているのに何で怒られるのかわからない」くらいの自己認識だったりする)。生成AIのハルシネーションとよく似ている。ぐえええ。
でもって次。「推しにブロックされた人」の話。
火元のnoteの記事(燃えた原因と後日談で2つある)には直接リンク貼りませんし、いろんな人が感想もいっぱいあげてるけどその辺はとりあえずスキップ。
「貴方のおかげで私は気付いた、私は変われた」
という謝罪文を発信する人に対して、
「この人は他人を巻き込んで自分をドラマチックに演出しようとしていないだろうか?」
という疑いの心は必ず持った方がいい
自他の境界性が曖昧な様子が見えるなら更にそう
まず反省文の生成はできる。
件のヤバファンの人ように文章力が高いタイプは、反省文、謝罪文、決意表明などをすらすらっと書くので甘い人は「分かってくれたんだ」となるんだよな
甘い。すぐに分かってくれる人はヤバ行動などしない。
「反省文を書けるなら反省してるから行動の改善につながる」という前提がそもそもなりたたない。
思考のグラデーションを意識して付けていければ改善するかもしれないし、自責の時間があることで他責の何が問題なのかは理解できる可能性はある。
他責しか持たない世界の人に、自責を理解するのは相当難しいんじゃないのかなぁ。
https://twitter.com/haniwafactory/status/1777182240293929212
まず自他の区別がないから他責と自責が理解できてない。
「他責しか持たない世界の人に、自責を理解するのは難しい」
めちゃくちゃ同意します首がもげそうです。
他責と他者への支配・コントロール癖がもう自覚のステップ無しで反射的にやっちゃうタイプは、「自責に見せかけた脅し」を自責だと思ってたりする。
https://twitter.com/daaaaan_shari/status/1777408439721021458
理解できてないし理解できなくても形式や文脈に沿ったそれっぽい文章は生成できる。
話題になっている推しにブロックされた人の文を読んで、距離感がおかしい人に共通する(ありがちな)特徴が見えた。
・一方的なアドバイス
・相手をコントロールしようとする
・自分が正しいと信じて疑わない
・相手への強い執着、依存
・デリカシーに欠ける発言
・受け入れもらえないと他責に転じる
自他の区別がついてないからそもそも相手をコントロールしようとしてる自覚が無い。
文章だけ読んでASDとか特性持ちとか勝手に診断するな、というご意見もお見かけしましたしそれについてはもっともだと思うんですが、診断つくつかない関係なく「タイプとしてはたぶんアレ」で間違いないと思うよ。
さて、ここまで読んでなんか一言いいたくなったお前。そこのお前だ。
この記事の冒頭、最初の節を、もう一回、声に出して読め。で一回深呼吸しろ。
OK?
じゃあ、それは今そこに書くべきことかどうか、もう一回見直してみようか。