はじめて迎えたお嬢さんは赤い眼をしていた、しずかで喋らないけれどわたしが話しかけると笑った もともと身体が弱かったのだろう秋が来て冷え込んだ朝に死んでしまった。二人目のお嬢さんは深い青色の目だった よく喋る明るい娘だった 寒い日はストーブの前でホットココアを飲むのがすきだった 春がきたら二人で丘を登って桜を見下ろそうと約束したが彼女も冬を越せなかった。もううさぎと暮らすのはやめようとひとりの春を迎えた。仕事に打ち込んでいれば寂しくなかった。夏がきて秋が来て、まあるい翡翠の目がわたしをじっと見つめた。近づくとその目が懐かしい赤色に見えたので覗き込むと深い青にもみえた。気付いたらわたしは彼女の手を取り帰路についていた これが今のお嬢さん。
この子は冬を越せるだろうか、今年も桜は咲くだろうか。これはどのお嬢さんが好きだったんだっけかと、季節はずれの風鈴に目をやった。
▷ステーシーのパロディ