北スペインの旅 ④ リャネス

𝓔𝓽𝓽𝓪
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公開:2024/9/21

【 Day 5 】

お昼前にアパートメントを引き払い、地下鉄に乗って再びビルバオ長距離バスターミナル Bilbao Intermodalへ。

この写真は、ビルバオの地下鉄駅の入り口「Fosterito」。これを設計した英国の建築家、ノーマン・フォスターの名前からとった愛称なのだそう。ナウシカに出てくる王蟲(おうむ)のような形。

スチールのフレームをガラスで覆った地下鉄駅の入り口。ダンゴムシのようなずんぐりとしたカーブ状の建物。

近代的なのにアールデコのようなレトロっぽさも感じさせるデザインは、ユーモラスで可愛らしい。


北スペインは山、川、谷と地形の起伏が激しい。どこでも線路をひけるわけではないので、電車だと遠回りのルートになる。フレキシブルな路線網を持つ長距離バスのほうが目的地に早く着くのだ。

今回移動に利用したのは、英国出発前にオンライン予約しておいたALSA社のバス。次のステイ先であるバスク州の北、アストゥリアス州のLlanesに、およそ3時間半後に到着した。

Llanes。文字通り読むと「リャ」ネスなのだが、地元の人の発音は「ジャ」ネスに近い。端から端までゆっくり歩いても30分とかからない、小さな海辺の街だ。

バス停を出るとそこには、(また例えがジブリになるが)『千と千尋の神隠し』に出てくるひなびた温泉街のような街並みが広がっていた。青、ピンク、黄色、クリーム色。カラフルな壁の家が並ぶ通りを5分ほど歩き、オーナーのおばあちゃま(お顔立ちが銭婆に似ていた)からアパートメントの鍵をもらい、荷物をおろしてひと休み。

リャネスの路地裏の写真。赤茶色、緑、パープル、さまざまな色で塗られた2〜4階建ての家屋が並ぶ。

これは写真館のショウウィンドウに飾られていた、リャネスの今と昔のイメージ。道路と埠頭周辺は整備されたけれど、他はそれほど変わっていないように見える。

北スペインの海辺の町リャネス。海岸線が入り組んでおり、緑に囲まれた住宅街には昔ながらの建物が並ぶ。

ここでもまた、いつもの夕飯の時間(6~7時)に食事にありつけない事態発生。観光地とはいえ訪れるのはほとんどスペイン国内のローカル客なので、いろんな国からのビジターのニーズに対応する必要はないのだ。バカンスシーズンのスペイン時間ですべてが動いていた。

英語が通じないので、私の拙いスペイン語で「何時に開くんです?」と準備中の食堂のスタッフに訊いてまわった。どこも8時〜8時半から。あと2時間も空腹のままどうしたらいいの……?郷に入っては郷に従えということで、ローカルの皆さまにならってカフェバーに入りお喋りしながら待つことにした。

バスク地方じゃないからピンチョス(おつまみ)が無い。空きっ腹にシードルをきめる。子どもたちはコーラとレモネードを頼んだ。コカコーラは、どこに行っても昔懐かしI Feel Coke時代の緑がかったガラスのボトルで出てきた。

7時半に開くという食堂を見つけたので開店と同時に並び、ようやく夕食スタート。さっそくアストゥリアス名物料理を頼んでみた。

白インゲン豆、チョリソ、モルシージャ(豚の血を加えて作るブラッドソーセージ)、塩漬け豚をコトコト煮込んだ料理、「Fabada ファバーダ」。こってりしているのにしつこくない。パプリカの風味がきいていて、とっても美味しい。気に入った!英国でも材料は揃うので、冬になったらファバダもどきを作ってみたいと思う。

山々の連なる緑豊かな España Verde (グリーン・スペイン)と呼ばれるこの地域で採れるインゲン豆はお味が違うのか、リャネスの食材店では、地元の乾燥白インゲン豆がお土産用に特産品として売られていた。

パプリカの色で真っ赤に染まったスープ、ファバダ。そして
真空パックに入ったファバダのキット。乾燥白インゲン豆、チョリソ、モルシージャ(豚の血を加えて作るブラッドソーセージ)、塩漬け豚がセットになっている。

写真は無いが、この日娘たちは仔牛の薄切り肉とチップス(フライドポテト)を頼んだ。

デザートには、カブラレス村とその周辺の限られた地域だけで造られる青カビチーズ、アストゥリアス特産「Queso Cabrales カブラレスチーズ」をオーダー。イングランドのスティルトンチーズよりも淡白なお味で、食べやすい。クインス(西洋かりん)ゼリーの甘さ、そしてりんごの醸造酒シードラの酸味と、とてもよく合う。

下調べもせずなんとなく入ったお店だったけれど、美味しくて大満足 (娘たちも気に入り翌日も夕食はここで食べたので、お店の詳細は「北スペインの旅 ④ 」にて)。

@ettanity
時計は叫ぶ、今朝は行けと