【 Day 3 】
3日目は、ビルバオの新市街へ。目指すは例の「アレ」。最寄り駅の周りにこれといって見たくなるようなものが無くオンラインでチケット購入時に予約した入場タイムよりも1時間早く着いてしまったのだが、スタッフさんが入れてくれた。
1990年代後半、バスク地方のくたびれた鉄鋼業の町を再生に導くきっかけを作った「アレ」とは、そう、「グッゲンハイム美術館」である。
巨匠フランク・ゲーリーのダイナミックな建築。
螺旋階段や、メタルフレームを配したシースルーのエレベーター、風に揺れるカーテンのようにカーブを描く全面ガラス張りの窓など、館内もまた、動的なエレメンツてんこ盛りである。窓、天井、壁、柱、どこを見てもすべてが曲線で、真っ直ぐ立っている自分がおかしいのではないかと錯覚するような、不思議な空間だ。
ここでちょっと正直な感想を言ってもいいですか?
美術館なのに、建物のビジュアルがうるさすぎではないだろうか。
近代美術館なんだから自由な発想で設計したっていいじゃないかとゲーリー先生は言ったそうだが、主役は展示される彫刻や絵画なのに、これではなんだか脇役に見えてしまう。マッチョな建築は、美術館には不釣り合いだと思う。企画展用のギャラリースペースも、中に入る作品のことなど考えずにデザインしたのでは?というような、広すぎ・明るすぎの空間。そう、明るすぎなのだ、美術館なのに。
ここまでは個人の感想なのだが、調べてみるとバスク人彫刻家のホルヘ・オテイサなど地元のアーティストや芸術評論家ほか、批判している人は割とたくさんいるようだ。たとえばこの記事。吹き抜けのアトリウムを「ビジネスホテルと空港を足して2で割ったような」と評している。ほんとそんな感じなのだ。
今年3月に行ったコペンハーゲン郊外のルイジアナ現代美術館を思い出す。作品と一対一で向き合えるあの感じ。最高of最高の美術館だ。また行きたいな。
ということで私はテンション爆下がりのままで館内で時間を過ごしたのだが、子供たちは奈良美智さんの企画展に大喜び。作品に込められた反戦メッセージを一応説明したのだけど、わかってくれただろうか。
唯一広い空間を最大限に活用しているなと感じたのは、リチャード・セラのインスタレーション『ザ・マター・オブ・タイム(時間の問題)』だ。重さは9百トン超え。錆びた銅板を湾曲させた迷路のようなオブジェクトで、実際に銅板ロールの中に入り、空間的な鑑賞体験ができる。
ギフトショップとカフェも平凡な感じ。美術館のショップで素敵なグッズを探すのが好きな私はここでもちょっとがっかりしてしまった。
気分をあげるために、こちらのブログで見た海鮮 pintxos(ピンチョス)が美味しいと評判のバルへ。
🍽️ El Globo tavern
Diputación 8, 48008 Bilbao, Spain
上のブログで紹介されていた帆立貝の上に蟹味噌など海の幸とチーズをのせて炙ったカラスピオと、白トリュフ入りグラタンをオーダー。美味しかった!これにさっぱりめのグリルしたお魚のピンチョスを追加してビールもいただき、いやあもう大満足。どこのバルにもある「1906」というスペインのビールは苦味がなくさっぱりしていて、味の濃いピンチョスによく合う。
ということで、メインアトラクションで期待を裏切られスカスカになっていた心とペコペコのお腹が、こうして満たされたのだった。花より団子ならぬ、グッゲンハイムよりピンチョス、である。◼️
#スペイン