Chanel Miller著者のKnow My Nameを読了した。
著者自身が経験したスタンフォード大学でのレイプ事件に関しての回顧録になるのだが、その事件だけでなく普段から如何に女性が生き辛く感じているかまで赤裸々に書かれているのが印象的だった。女性なら無意識レベルで気を付けていることであったり、もはやそれを前提として成り立っている社会に対して、著者の強いメッセージも込められていてEmpowermentさせられる内容であった。
事件に関しては妹の大学のパーティーに参加した著者がお酒を飲んだ後に記憶を失い、目覚めた時には病院のベッドにいたという内容だ。実は彼女は道端でドレスがはだけ、下着も脱がされた状態で気を失っており、見知らぬ男といたところを通りすがりの人が怪しいと思い、通報されその男は逮捕されたという。正直防ぎ用のない事件なのにニュースになると彼女はセカンドレイプと言われる一般人からのバッシングにもあってしまう。「どうしてそんな格好をしていたのか?」「年下の男性をたぶらかすためにパーティーに来たのか?」等。そんな事件の裁判からその後まで繊細に描かれているため、とてもリアルで自分も同じような気持ちやトラウマになるだろうと容易に想像ができた。特に裁判に至ってはトラウマを掘り起こされ、かなりの時間とエネルギーを奪われることを考えると彼女の行動は本当に勇敢であったと思った。そもそもこんな経験をすること自体が辛いのに勇敢だと思われたところで彼女にとって嬉しいことではないだろう・・。それでも裁判まで持っていくことができなかった被害者たち、泣き寝入りするしかなかった被害者たちにとっては羨ましい状況だったのかもしれない。実際著者の友人も同様のレイプ被害にあったが訴えることができなかったらしく、その友人からあなたにはその人を有罪にできるチャンスがあると言われたシーンもあった。
そんな彼女の力強い言葉に共感した一部を紹介したい。
実際に性被害に遭った方はトラウマを思い出させるかもしれないため安易におすすめはできないが、彼女の起きた出来事から如何に女性が理不尽な社会の元で日々暮らしているのか理解できる一冊になっている。