Small Things Like Theseを読んだ感想文

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Claire KeeganのSmall Things Like Theseはアイルランドを舞台に繰り広げられるキリスト教の話で、ページ数は110ページと薄いのに美しい文章と内容で濃厚な体験をさせてもらった。また、個人的に難しい単語も多く、読むのに少し時間が掛かってしまった本でもあった。

あらすじは人員削減や企業倒産など経済的にも厳しい時期であった80年代のクリスマスシーズン、5人の娘を育てながら自分の会社で忙しく働いているBill Furlongは仕事の関係で訪れた修道女で過ごす女性達の悲惨な現状を目の当たりにしてしまう。

自分も物心ついた時から既にカトリックであることからこの内容は衝撃的であったが、教会の保守的な感じとか地域に根差した支配的な圧力やコントロールはわからなくもないなと思った。そしてクリスマス時期と組み合わせるあたりもよくできてるなーと感心した。本当の意味での善とは何なのだろうかとBill Furlongの葛藤シーンを読みながら感じていた。

以下は個人的なハイライト文。

"Why could he not relax and enjoy them like other men who took a pint or two after Mass before falling asleep at the fire with the newspaper, having eaten a plate of dinner?" (Billの人物像がわかるのと、私もよくこういう気持ちになるのでわかる)

"Was it possible to carry on along through all the years, the decades, through an entire life, without once being brave enough to go against what was there and yet call yourself a Christian, and face yourself in the mirror?"(耳が痛い)

ちなみに大ベストセラー作家スティーブン・キングもこの本を絶賛しており、続編を希望している。

彼の生い立ちから葛藤に至るまでの心の描写からラストはそれが解放されるような気持ちが鮮明に描かれていて個人的にはあのエンディングが好きだった。

そしてこの本は推しのCillian Murphyが好きな著者の作品でもあり、彼主演で今年映画化される。

ちなみにこの著者の書いたFosterという作品ではCillianは電車で読んでいて感動のあまり泣きすぎてフードで顔を隠していたという小話なんかもあり(可愛い)、本当にこの著者の本が好きなんだなと思った。

宗教と善悪、格差を美しい文章で描いていて文学好きにはぜひお勧めしたい一冊。