書き写すことのプラクティス(1):いとうせいこう『想像ラジオ』

shogo
·

いとうせいこう『想像ラジオ』より

[...]「ガメさんもSさんも無神経な人じゃないのは十分知ってるんで、逆にっつうか、だからこそ口をはさませてもらうんですけど、広島のことだってそうなんじゃないかとさっき聞いていて俺は思いました。もっと遠巻きの周囲から見守らせてもらうくらいのことしか、俺らはしちゃいけないし、そうするべきなんだって」

 ナオ君の意見に私は息をのんだ。彼はボランティアを続ける中で実践的に自分の考えを形成しているのだった。対して私は軽々しい人間だと思った。ただ、事態に関係のない者が想像を止めてしまうのが本当にいいことか、私にはまだ引っかかりがあった。何か言わなければと私は言葉を探した。