その四足歩行の生き物は全長2.5mほど。白い毛に覆われていた。普段は畳まれている小さな羽があり、老木のようなツノが2本生えていた。顔は犬のようだが鼻は乾いている。そして獣の匂いがしない。くちなしの香りが動くたびに鼻腔に届く。一見大きなぬいぐるみのようにも思えるが、抱きしめれば暖かく、白い毛の奥には薄ピンク色の皮膚がしっかりと存在していた。綿やビーズクッションや作られた人工物とは全く違う、生きているものの触感だった。皮膚とはなぜこんなにも愛おしいのだろう。この時ばかりはぼくは生きているものが好きだと思う。
「鉄道に乗って旅する架空の町」をコンセプトに装身具を製作中
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