※三次元の人間の恋愛の話です
misskeyで恋愛の話を書こうと思ったけど、見せびらかすのも恥ずかしいな……となった。でも書き残してはおきたいんだよね。私にとって、SNSは脳直出力が可能な外付け日記みたいなものなので。
というわけで、これを使おうかなって。
恋をする前に、学生時代は性欲を満たす方が先になっていた。
彼氏が出来る前に、セックスが先だった。まあそれはそれでいい。その人とは一度きりだったし、そんな感じで迫ったのも、追加でもう一回だけ。追加の時は本番はしてないのでゆるして。
人を好きにはなるけど、それが両思いにはならない。いつも自分の一方通行。それが続いて、社会との関わりが途切れると、リアルでの恋とか別にいいかな、となっていた。親戚も独身貴族が多いし。私も結婚しろって言われてるけど、他人と暮らすってハードルが高いんだよなあ。
そんなことを思っていた今年の6月中旬、従弟が結婚するという。
誰? 年上の女の人。
どこで会ったの? アプリ。
……アプリ???
実際に出会ったら、話が通じそうなかわいい子だった。私もやってみるか、と軽い気持ちで思って、アプリをダウンロードだけして、開きもせずにそのまま寝かせた。
10月下旬にSNSで「恋活アプリやってみたけど、自分の好きが分からなくて難しいね……」とフォロワーが嘆いていた。ちょっとまた興味が復活する。
同じ頃、ちょっと今の仕事辞めたいな、と思った。でも転職してもすぐ結婚するような年代の女を雇ってもらえるか? と疑問が浮かぶ。……結婚、かあ。そろそろだよなあ。
11月中旬。ワクチン接種で熱が出て、ベッドの上で暇になった。タイミングが出来てしまったので、なんとなく気になっていた寝かせていたアプリを始めてみる。自画像? ソシャゲのリアルイベントのための、本人認証のために撮ったやつがあるからそれにしてみる。他には……オタクであることは否定されたくないから、ゲーム関連の画像。ご飯を食べるのが好きだからそのあたりの写真。
準備は出来た。釣り糸を垂らす。
反応があった。オタク面の方に釣れたっぽい。それなら、と練習のつもりでソシャゲの話を持ち出す。反応が帰ってくる。なるほど、こういう感じなのね。キープ、というか保留。
二日目。別の人にご飯の心配をされた。熱はひいたが怠かったので、食べてないことを素直に話す。心配してもらえた。……この人とは続かないだろうな、と思ったので、仕事の話を切り出してみる。真剣に聞いてくれた。少し申し訳なくなる。
その人とやりとりが続いたので、アプリの提供元からお互いに踏み込むための質問を持ち出された。素直に答えてね、と書いてあったので答えておく。……誇れること? 今年に入って初めて同人誌を作って、しかも調子に乗って自分のためとはいえ3冊作ったこと……?
それを拾われた。同人誌の話が通じるなら、と、同い年ならこのラノベ知ってるかな? と具体的なラノベのタイトルを出す。反応が来る。……いいかも。
TRPGの話になった。ルールブックあるよ、と話をする。クトゥルフ? サタスペ(※冒険企画局作成のTRPGの名前)。
趣味が一致してしまった。直接話したいね、と言われる。うん、別にそれはいい……けど、プロフィールには「声が低い」と書いてある。
どんな声、なんだろう。
気になってしまった。なんとかなりそうだったので、今ならいいですよ、とイヤホンをして許可を出す。電話なんて苦手なのに。
もしもし、の声で駄目だった。思わず布団を被って顔を覆う。これはだめ。この声なら騙されてもいい、と思ってしまった。警戒心が坂道を転がって、乙女回路に変化して、みるみるうちに回転し始めた。
このひとが、いい。
彼から、そろそろアプリの会員を辞めようと思っていたから、別のSNSで話さない? と言われた。
LINE? ……あ、IDが年齢認証しないと交換出来ない。おのれpovo。ならDiscordにしよう。偶然作っていてよかった。ありがとうにじみす。
週末に私の自宅の近くに来るから、そこでLINE交換しようか、と言われた。まずは会ってからね、とここから何度か釘を刺される。どうしてかしら。
とりあえずお互いを知ろうか、とチャットを始める。3時間ぶっ通しで会話が弾む。趣味も似通っている。食事の好みも似ている。話題が止まらない。楽しくて、夕飯を食べていた店にバッグを忘れてきていた(まだ気付いていない)。
HNを聞いたのでツイッターを特定する。オタク仕草が身についている……。
あ、女性関連で何かあったのね。なるほど。期待させすぎたくないから釘も刺してきてたのね。……なら、あんまりガツガツ行かないほうがいいかな。でも私結構ぐいぐい行っちゃうんだよな。引かれないかな。
翌朝、バッグを忘れたことに気付いた。話題がてらに彼にメッセする。何かあったら頼ってね、と言われた。行けない距離じゃないから行くよ、とも。
……会ったこともないのに、少しの通話とチャットで話しただけなのに、こんなに信頼されてるの? そんなんだから騙されるんだぞ、と冗談交じりに忠告する。
もうしません、でも君はほっとけないです……と言われた。
多分この時に、恋に落ちたと思う。
こういう話も出来なきゃ嫌だな、と性癖の話をぶちこむ。……反応がいい。引かれてない。なら、と、自分が夢女子であることを告白する。設定をきちんと考えるデザイナーじゃん、と言われた。それで、これまでのオタク人生を許された気がして、実は少し泣いた。
……二次元に恋人がいるのに、三次元の人と恋愛したら不誠実かな、と思っていたのは事実で。あなたが許してくれるなら、一緒に歩みたいな、と思った。
翌日。仕事が手につかない。早めに家に帰って、軽くひとっ風呂浴びて、待ち合わせ場所に向かった。
……今だから言うね。
初対面だったけど、後ろからハグしてビックリさせたかった。初めて話したのは五日前なのに、ずっとずっと、それこそ幼馴染みのような気がしてたまらない、優しくて素敵で頼れるあなたのことを。