説明のつかない症状。めまい、倦怠感、イライラ。原因がないという不確実で予測がつかない状態を抱えるのはつらい。無理矢理にでも病気のラベルを貼って安心させようとする力学が働いている。
病気の名前をつけて薬をもらうことで『医療化』され、病名に基づく予測ができるようになり、受け入れることができる。
この医療化によって無理やり受け入れた場合は、病気を持った人間として周囲の人間関係のバランスが平衡に至る。(この人は〇〇病だから、あまり残業はさせないでおこう など)。
そして、『病気がないと困る状態』に陥ってしまいかねない。病気が無いor治ったとなると、不都合な真実に立ち向かう必要が出てきてしまう。(周囲の人間に気を使われているなど)そのため、失敗利得とも言われる、治りたく無いという力動が働きかねない。
この不適切な医療化は、不確実な状態、未分化な健康問題において起きやすいと思われる。倦怠感やめまいなど、、そして一部の精神状態(気分の落ち込み、罪悪感、死にたい気持ちなど)にも言えるだろう。
不適切な医療化を防ぐためには、診断をする前に不確実な問題であることを共有し、確定診断を安易に行わない事が重要かもしれない。診断がつかない翔を一緒に抱えながら、その中で今後の見通しなどをふまえた道筋を示すことが重要かもしれない。
診断がつかない症状の道筋をしめすといういみではあ、昨年のCFPの腹痛に関するレビューでも示唆された『症状』のタイムコースに関する知識も重要だろう。
また医療化しない治療としては、漢方・姿勢の矯正・セルフケアなどが挙げられる。これらの治療は、患者自身で自分の症状をコントロールする感覚を掴む事を促し、慢性疾患に対するレジリエンスを高めるだろう。