すきって いわなきゃ だめ?

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低学年の子たちに『すきって いわなきゃ だめ?』を読み聞かせした。

恋の絵本シリーズ、どの絵本も素敵だなと思っているのだけど、この本は格別に好きだなあと思う。辻村深月さんの文章と、今日マチ子さんの絵がほんとうに素晴らしい。

初めて読んだ時のガンッとした衝撃(この中には、ああこんな時があったなという郷愁や共感、自分の無意識の偏見が引っ張り出された感覚、イラストの色彩の瑞々しさ等いろいろなものが混じり合っている)が忘れられない。

私のエゴでこの本を選んだ。お話しを聞いた子たちの心の中に、勝手にタイムカプセルを仕込んでおきたかった。おうちに帰って思い返してもらうのでも、もうずっと何年も先にふと思い出すのでも、もうすっかり忘れて思い出さないのでも良い。押し付けになってしまうけれど、この本に”出会ってしまって”欲しいと思った。

読み終わったあと、ちょっと分からないなと複雑そうな表情の子が多かった。感想も手があまり挙がらず、作品というよりはイラストの感想を教えてくれた。先生は先生で、そういう感想じゃないんだよな…とちょっと複雑そうだったけれど、なにかすぐに感想が欲しかったわけではないので、真剣な表情でお話しを聞いてくれただけで十分だと思った。

宮崎駿さんだったと思うけれど、「子どもの時に訳が分からず見た作品がずっとあとになってからああいうことだったのかと分かることがあった。だから分からなくても良いんだ。」というようなことを仰っていたように記憶している。(めちゃめちゃうろ覚えなので嘘かも、私の妄想かもしれない)タイムカプセルが、いつか思いもがけず開いてくれたらうれしいなと思う。願い。

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それでも生活は続く