子どもが咳き込んでいたり鼻詰まりのひどい時、寝る前にヴェポラップを胸と背中に塗るのが小さい頃からの習慣となっている。花粉のせいか鼻詰まりがひどく「ああ今日は寝ているあいだ口呼吸になりそうだよ」とぼやいていたので、おまじないのようにヴェポラップを塗ろうとした。
「背中に塗ってもらう時が気持ち良くて好きなんだよね」と子どもが言う。
塗り終わると、気持ちが良いから肩甲骨と肩甲骨の間のあたりを手のひらで押して欲しいと言う。両手のひらで少し強く背中に手を当てるとああ気持ちいと温泉に浸かった時のような声で言う。子どもも肩が凝るんだろうかとか、背中を触ることには何か安心させる作用があるのだろうかとか考えながら、しばらく背中を押していた。
押し終えるとありがとうと言って、腕に絡みつき、膝に頭をのせてきた。もうすぐ3年生になる。この子はいつまでこうして甘えてくれるのだろう。きっと気がついたら今日の日が遠いことのように感じる日がきているんだろう。
うとうと眠りにつく子どものおでこを撫でながら、この子が出来るだけ健やかに生きていけますように。まあきっとつらいことは避けられないだろうけど、なるべく健やかに過ごせますようにと神さまに祈った。