春になると、まど・みちおさんの「くまさん」という詩を思い出す。小学校に入学して、国語の授業で最初に習った詩だったように思う。
はるがきて めがさめて
くまさん ぼんやり かんがえた
さいているのは たんぽぽだが
ええと ぼくは だれだっけ
だれだっけ
はるがきて めがさめて
くまさん ぼんやり かわに きた
みずに うつった いいかお みて
そうだ ぼくは くまだった
よかったな
大人になってから、というか、子どもの成長につれて、国語の授業で習ったいろいろな物語や詩、説明文のことを思い出す。この年齢になって作品の素敵なところに気づくので、学校の授業って当時はたのしくはなかったけど、大人になってからじわじわたのしさがやってくるんだなあと思っている。くまさんの詩は最近よく口ずさんている。水にうつった自分の顔を「いいかお」と思えて「よかったな」とくまさんが言うところがとても好きだ。