SNSは疲れる。これはもうはっきりしている。SNSは疲れるのだ。感情を揺さぶる情報が流れてくるので、まんまと感情が揺さぶられる。その結果として必然的に疲れる。
一人ひとりのユーザーは、他人を疲れさせてやろうと思っているわけでは必ずしもない。ただ、ちょっと気の利いたことを言いたかったり、ちょっと不愉快だったことを吐き出してみたり、ちょっと面白かった小話を紹介したかったりするだけなのだけど、いかんせん、人が無数に近いほどたくさんいるので「ちょっと」がちょっとではなくなる。重なり、より感情を揺さぶりやすい情報が選別されて残る。多くの人が情報を共有したくなり、さらに増幅されていく。そういう積み重ねによって、SNSは疲れるものになる。
Xはいまでもときどき見ている。気になる人が数人いるし、好きな芸人や映画解説者の発信する情報はときどき見たい。俳優やテレビ番組の情報を検索したときに公式アカウントに飛ぶこともある。Xは見ても、「おすすめ」タブは見ない。読み込まれる前にページを移動する。トレンドも見ない。目には入るけど、なるべく理解しないように試みる。たまにクリックしてしまうこともある。
Blueskyでは、フォローしているアカウントのリポストを非表示にしている。引用ポストも非表示にしている。困らない。フォローしているアカウントのすべてが流れてきてほしい気持ちはあるけれど、もともと「いいね」は見えないし、ないならないで、気にならない。気になる人のポストに文脈を感じたときは、個別ページまで様子を見に行くこともある。わたしがミュートにしているアカウントをリポストしていることもあって、そうすると個別ページにいっても様子がわからないこともある。それならそれでよい。
世の中のことが、速報的には、ずいぶんわからなくなったと思う。テレビのニュースはほとんど観ない。職場で流れているFMラジオが2時間に1回くらい流すヘッドラインニュースしか知らない。それでも、新幹線が不通になったことや、バイデン大統領が撤退したことや、オリンピックに出場するはずだった選手が辞退したことなんかは、なんだかんだで目に入ってくる。
SNSによって疲れることは、いまでもある。ぜんぜんある。朝ドラのハッシュタグを覗きに行くと疲れる。好きなユーザーが仲よさげにリプライを交わしている人が、自分にとっては合わない人だと気付くのに時間がけっこう掛かることもある。ぜんぜん疲れるけれど、1年前よりはだいぶ楽になっていると思う。フリーライドなのかもしれないけど、できればSNSの楽しい部分だけ楽しみたい。