西武ベルーナドームに野球観戦に行った。現地ならではの気づきが盛りだくさん

ficas
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関西への引っ越しが決まり、関東にいられる時間も残りわずかになってきた。いざ関東を離れるとなると、関西からは行きにくい場所に行ったり、体験をしておきたいという気持ちが生じてきた。何かないかと考えた時に、プロ野球観戦をしてみたくなった。

毎日試合結果をチェックするぐらいにはプロ野球好きだ。にもかかわらず、球場に足を運んで観戦する体験は、小学生の時以来なかった。今はいろんな球場がボールパークに変わり、野球観戦以外の楽しみ方を提供している。

体験しておきたいと思った瞬間が吉日。チケットの空いている試合日程を確認し、ベルーナドームの試合を観戦することに決めた。チケットを取った瞬間にわくわくの感情が芽生えた。数時間のんべんだらりと野球観戦をする。贅沢な時間の使い方ができることに期待感が高まったためだ。

ベルーナドームは、西武球場前という駅からすぐ目の前にある。車で現地に向かうことも考えたが、西武ライオンズのWebサイトを見ると、当日は公共機関推奨だった。混雑が予想されるため、電車で行くことにした。

西武球場前駅に行く際に西武鉄道に乗った。西武鉄道は、関東に上京した時に使っていた沿線であり、懐かしさがこみ上げる。10年ほど使っていた西武鉄道も、ここ数年は住む場所を変えたこともあり、活用していなかった。何気なく乗っていた鉄道ひとつにしても、体験や経験の記憶は確実に残っている。人生の中に確実に刻まれていることを実感した。

ベルーナドームに着くと、ボールパークという言葉の意味合いがよくわかった。こどもが遊べる場所やアトラクションがあり、家族連れで来るのにもってこいの場所だ。当日はテレビ番組のおはスタとコラボしており、子ども向けの催しや館内アナウンスを何度も見聞きした。テレビを捨ててしまったせいで、おはスタは知らなかった。今人気の番組らしい。

30分ほど前に球場内を歩いていると、スターティングメンバーの発表がある。大きな歓声が沸き起こり、その音がグッと体に響いてくる。意識せずとも五感を震わせることができるのが、体験の価値である。スマホをいじっているだけの生活では、この臨場感は永遠に味わえない。

サンシャイン池崎さんがゲスト出演。盛り上げ方を心得ており、さすがプロの芸人さん

試合が始まった。三塁側の内野指定席を取った。ホーム側の西武ライオンズを応援する人が多い。パ・リーグは特にひいきの球団はない。今回はソフトバンクとの対戦で、首位をひた走っている。今日は即席の西武ライオンズファンとして、試合を観戦することにした。

試合は淡々と進んでいく。テレビ中継を見ているときは、画面切り替えや試合のリプレイが適宜入ったり、CMが流れたりするので、試合の中でも意識的な区切りがある。野球観戦の場では、これらの演出はそれほど明確に分からない。ただただ目の前で試合が進行していく感覚を持った。だからこそ、目が離せない。友達と話をしている間に、ヒットが生まれたりする。その場だけの名場面を逃すまいと、観戦に集中することにした。

球場に来ると、飲みたくなる。ノンアルコール生活は、2024年に入り100日を突破した。家での晩酌習慣をなくしただけで、まったく飲まないというわけではない。むしろ、人と会う時にはそれなりにお酒を嗜む。

野球観戦のおともに、角ハイをいただいた。自分が観戦しているエリアだけでも、ざっと10人ぐらいの販売員の方を見かけた。球場全体では100人を超えるのではないか。現地に行ったからこそ、こういった体験の1つ1つが思考のきっかけになる。そして、野球観戦をしながら飲むハイボールはおいしい。

今回の試合は引き締まる投手戦だった。スコアボードには0が並び、試合運びも軽快で、5回終わったときには試合開始から1時間強。外野にボールが飛ぶこともほぼなかった。そういえば、ヒットを打ったあとに三塁手にボールが渡る時に、キャッチャーが三塁の後ろに動き、カバーしていた。こういうプロセスはテレビ中継には映らず、現地ならではの体験だった。

ラッキー7の7回にはジェット風船が球場を舞った。コロナ禍の影響もあるのか、ジェット風船を膨らますには、専用のポンプが必要になっていた。直接息を吹き込むのはよろしくないのであろう。ジェット風船といえば甲子園。どうしても打ち上がる風船の数を比較してしまうが、空を埋めるジェット風船は関西に引っ越したあと甲子園に行くことがあれば、そこに取っておこう。

西武がソフトバンクをくだし、首位に一矢報いる展開になった。ライオンズを応援していたので、盛り上がりもひとしお。家に帰ってからぐっすり眠れた。おそらく数十年ぶりの野球観戦は、本当にいい一日だった。