まえがき
こんにちは。
Fediverse創作展示会 Advent Calendar 2025からお越しの方の中には、はじめましての方も多くいらっしゃるでしょうか。
改めまして、烏野ざくろと申します。
本記事では2025年に私が撮影した写真の中から、特に気に入っているものを6つ選んで紹介したいと思います。
Fedibirdの方で私をフォローしていただいている方には、既視感のある写真が並んでいるかもしれませんが……。そういった方々にも楽しんでいただけるよう、キャプションだけでなく、撮影時に考えていたことや写真を見返していて思ったことなどを書き加えていきたいと思います。
いわゆる「フォトエッセイ」的な感じで楽しんでいただければ幸いです。
前置きが長くなりましたが、Fediverse創作展示会10日目の展示は、烏野ざくろがお送りする写真集になります。よろしくお願いします。
1. Unique

思った以上に仕上がった写真が面白かった一枚。
この日は動物園で色々な動物の写真を撮っていまして、丁度入園してから2時間くらい経った、疲労感もそこそこに溜まってきた頃合いだったと思います。
アフリカの動物を集めたエリアで、遠目に見ても圧倒的な存在感を放つ「彼(もしくは彼女)」に思わず目を奪われました。
開けた園内で、やや高めの柵越しにじっとこちらを凝視してくる瞳。
貫禄をも感じさせる、微動だにしない落ち着きぶり。
それらと対照的に、口を半開きにしたどこか間の抜けた表情。
大抵の場合、動物写真というのは忍耐力との勝負になりがちで、この日もそれまでに中々こっちを向いてくれなかったり、遠ざかっていく動物たちと根比べを続けていたところでした。
しかしながら彼/彼女はそんな動物たちとは全く違い、ただこちらを静かにじっと見つめて動きませんでした。
それはまるで、「ほら、写真取るんやろ?」と、頼んでもいないのにポーズを決めてくる厚かましい親戚のオッサンのようでした。(※イメージです)
そうしてお言葉に甘えて(?)撮らせてもらった一枚。
この独特の雰囲気は唯一無二かなぁと思います。
2. Story

ともすれば昔懐かしのカカシの写真なのですが、撮っていた時には感じていなかった「余白」を感じる仕上がりになりました。
ここで言う「余白」とは単なる空間的に空いた場所ということではなく、写真に映っているものから映っているもの以上のものを読み解ける余地があるか、という意味合いになります。良い写真というのはそういうものを感じさせるものだとかそうでないとか、誰かが言ったとか言ってないとか。
やや彩度を落とした緑を中心とした色合いと、時間帯的に、日が少し傾きかけた状況での光の入り方が、何とも言えないノスタルジックな感じを醸し出しているように見えます。
加えて、背景の柔らかめのボケが、主題として撮ったカカシの存在感を際立たせるとともに、その背後にあるものが何なのか、想像の余地を残しているとも捉えられる……と思います。
まぁ、それっぽいことは後付けで何とでも言えるんですけどね……。
ただ仕上がった写真を見て、撮った自分自身は率直にそんな感想を持ちました。
もちろん(?)、撮っている時はこんなことを微塵も考えてはいませんでした。必死に考えていたのは「フォーカスポイントをどこに置くか」の一点のみ。基本はフィーリングでシャッターを切るタイプなので。
ですがこの写真に限らず、データを見返していて「お、これは?」と思うような仕上がりになっていることがあるのが、また写真の面白いところかな、とも思います。
この写真を見た皆さまは、何を感じてくれるでしょうか?
3. Phantasm

「彼岸花を撮りたい」と、私にしては珍しく目的意識をはっきりもって出かけた日のことでした。
都内某所に彼岸花が咲いているという情報を(Google Mapから)得た私は早速現地に急行、思いの外あっさり見つかったのでそれから長時間撮影しておりました。
撮影を続ける中で思っていたことなのですが……この彼岸花、特に接写で撮るのが大変難しい。
立体的に大きく縦横に広い造形は、ただでさえ難しい「花の接写におけるフォーカス」の難易度を急上昇させます。もちろん、引きの構図でパンフォーカス気味に撮れば気にすることはないのでしょうが、その独特の姿形はやはり接写(アップ)で撮ってこそ輝くというもの。この日の仕上がり写真も、8~9割はフォーカスの問題でボツ写真送りとなりました。
そんな中でひときわ異彩を放っていたのがこの写真。
フォーカスは完璧とは言い難いですが、主題の彼岸花の造形がはっきりとわかりつつ、外縁部分からボケ始めていることで立体感が損なわれておりません。
何よりも、後ろに咲いていた他の彼岸花がうまいことボケてくれたおかげで、背景までも赤に染まった、ある種の異様な空気感が醸し出されています。
サムネイルで写真確認してたときから、不思議とこの写真だけは妙に惹かれるものがありました。それくらい、存在感という意味合いでは2025年ナンバーワンの一枚かな、と思います。
余談ですが、この日まではフォーカスエリアもカメラ任せ(オート)にしていたんですが、流石に失敗写真が多すぎたのでこの次の撮影からは手動でフォーカスエリア設定をするようになりました。
最近のカメラは任せておいても上手にフォーカスポイントを置いてくれるものではあったのですが……やっぱり自分好みにカスタマイズしていくのも、撮影の楽しみ方の一つなのかな。
4. Surprise

反射的にシャッターを切ったら撮れた、そんな写真です。
特に鳥を撮りに出かけたわけでもなく、散歩がてらカメラを持って出かけた際に、本当に偶然出会ったのがこちらのヒヨドリさん(Google先生曰く)でした。
「あ、近くにとまった」と思った瞬間にはカメラを構えていて、フォーカス含めてすべての設定をカメラに任せてただシャッターを切りました。
2枚撮ったところで飛び去ってしまったため、選定できるほどの枚数もなかったのですが幸運にもかなり鮮明に写った一枚が残っていました。
ただ、撮った際に使ったレンズが標準域までのズームでしたので、これ実は50mmで撮った写真のトリミングになります。
トリミングしてなお羽毛の質感まで伝わってくる描写力に、フルサイズの底力を見たというか……とにかく、撮って驚き、見返して驚き、編集して驚きの一枚で三度驚ける写真になりました。
この時の機材、Sony α7C IIは後述の機材と入れ替えで手放してしまったのですが、小型ながら確かな性能を兼ね備えた、とてもいいカメラでした。
どれくらい良いカメラだったか、というのはこの一枚が雄弁に物語ってくれると思います。
撮りたいと思った一瞬を切り取れる。それがどれだけ凄いことかを改めて認識させられた体験でした。
5. Focus

彼岸花を撮って以降、植物、というよりも花を撮ることの面白さに目覚め多様に思います。
カメラ任せから、自分でフォーカスポイントを絞っていく撮り方へと変えて、最初に撮れた写真がこちらでした。
この写真で印象的なのは、そのフォーカスそのもの。
前回の反省を活かした結果か、ピントが花の中央部にしっかりあっていて、かつ花弁部分もボケることなくしっかり描写されています。
そのおかげか、鮮やかな花の色が非常に印象的な感じに仕上がったのではないかと思います。
とまあ、仕上がりだけ見るとよく撮れました、って感じの一枚なのですが……実はこの写真、撮る際にそこそこ風が吹いていたこともあって中々ピントが定まらず、かつ接写のため中腰状態でカメラを構えたままずっとファインダーを覗き込んでシャッターチャンスを待っていた……という中々に苦労して撮った一枚だったりします。
先に「動物写真は忍耐力勝負」とか言っていた気もしますが、それは動物写真に限った話ではなく、植物写真も同じ、ということを改めて感じた撮影体験でした。
偶然がもたらす面白さもあれば、忍耐の果てにある綺麗さもあるってことなんだと思います。
6. The Best

2025年で一番良かった写真は?と聞かれたら出すのがこちら。
つまるところ、「私が一番気に入っている写真」です。
この写真は、数々の偶然が積み重なって撮られたものになります。
まず、撮った場所が旅先のふらっと立ち寄った神社、という完全な一期一会の状況下であったということ。
次にこれを撮った機材、Nikon Z5 IIはその時発売したてで、ほとんどの設定は工場出荷時のまま、かつこの旅先での撮影が事実上の初撮りだったこと。
そして、この写真については構図やら何やらを、少なくとも覚えている限り何も考えずにただシャッターを切ったこと。
これらの偶然が積み重なった上に、この写真は生まれました。
それでいて、フォーカスは最も目を惹く赤の風鈴にばっちり合っていて、構図は斜め奥に広がりを見せる立体的なもの、並んだ他の風鈴は柔らかくかつ奥行を感じさせられるようにボケている、といったように、何も狙っていないのに狙いすましたかのような仕上がりになっていました。
「偶然撮れた写真が一番いい」
色々試行錯誤しながら撮ってる意味を考えさせられる一方、だから写真は面白いと改めて思わされるような一枚でもあると思います。
だから自分は写真を撮るのが好きなんだということを改めて感じさせられた、その意味でもこれが今年のベストと胸を張って言える一枚です。
あとがき
以上、今年の写真6選でした。
きっちり数えてないですが、今年は1,200枚くらいの写真を撮ったかな、と思います。
月100枚くらい撮ってると考えると結構頑張ったかなと思う一方、一月でそれくらい撮る人もいれば、もっと少ない枚数しか撮らないでも、自身の世界観を構築した上でそれに見合った写真を撮ってる方もいるので、まだまだ枚数こなして、自分の「好き」を磨いていかないといけないな、とも思っていたりします。
そういった意味合いで『#マストドン写真部』のタグにはお世話になってます。
投稿される皆様の素敵な写真を拝見し、素直に「すごい」と思ったり、刺激をもらったりと楽しませていただいてます。たまに私も投稿してますので、興味のある方は是非巡回先タグに加えて下さると嬉しいです。
少々長くなりましたが、Fediverse創作展示会10日目の展示は以上となります。
本アドベントカレンダーの主催のノキ様、素敵な企画をありがとうございました。
明日、11日目は茜様による現代短歌の連作とのことです。お見逃しなく。
皆様もよきフォトライフを。
それではまた。