実写版リトルマーメイドのビジュアルが公開されたとき、アリエルが黒人であることに反対する声が挙がった。多様性の弊害といった差別を助長するような意見は論外として、アリエルは白人女性のイメージを持っていたから白人の女優さんで見たかった、というのはアニメ実写化時によくある配役への不満の範疇かなと感じていた。そんなとき、映画公開記念で地上波で放送されたアニメ版のリトルマーメイドを初めて見て驚いた。アリエルは白人ではなく、カリブ海に住む褐色の肌を持つヒスパニック系の女の子だったのだ。実写版の女優さんがアニメのイメージと違うとしたら、人種よりも目鼻立ちや体型だ。グッズで見ていたアリエルはアニメより色白とはいえ、白人がいいと思うのはしょうがない、と考えていた自分の思い込みが怖いなと思った。年を取るとますます思い込みが激しくなるだろうか、おぼろげな記憶で話さないように気をつけたい。ちなみにわたしはアンデルセンが好きなので、実写版とアニメのイメージ云々の議論については「原作のイメージをあれだけ変えたことを棚に上げて何言うとんねん」というのが率直な気持ちである。