働くのも稼ぐのも好き、でもビジネスは苦手

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専業主婦こそ女の道という両親に育てられたわりに、物心ついたときから将来は仕事をしたいと思っていた。

大学生になってアルバイトを始めたときも、みんなが飲食店で友だちを作って楽しげに働くなか、アルバイト情報誌で一般事務や休日手当の付くベビーシッター、テレフォンオペレーター、試食販売など時給が1000円以上になる仕事を選んだ。

但し、どんなに時給が高くても営業だけは避けた。興味を持ってくれる相手へのプレゼンはできるが、新規営業は自分にはできないと思ったし、あまりにも興味が持てなかった。テレオペの仕事でも、自分からかける新規営業は高時給を提示されてもすべて断った。

就職活動をしたのはいわゆる超氷河期で、フリーターがもてはやされていたけれど、そんな不安定な道を選ぶ気はなく、かといってご時世的にわたしの学歴で超大手は厳しかったので「営業以外の店頭公開以上」を目指し、規模の小さな一部上場企業に入った。

その後、フリーランスを経て出産を機に専業主婦になり、仕事をしたい気持ちが強くなってフリーライターを始めた。縁あってベンチャーに就職し、いまは出向みたいな形でスタートアップで働いている。

どうやらわたしは「住めば都」タイプであるらしく、どの仕事もやっているうちに面白くなる。今やライターだけでなくディレクターや広報も担当していて、何屋かわからない状態だ。

ただ、ベンチャーやスタートアップを経験してほんのり気づいたことがある。

わたしは「これをやってほしいと頼まれ、良い仕事をしてくれてありがとうと喜んでもらってお金をもらう」のが好きなだけで、その仕事が会社の売上や利益にどうつながるのかにはほとんど興味が持てないのだ。

目の前のお客さんや上司や同僚の役に立ちたいとは思うが、社会に貢献したいとも思わない。これも、結果に興味がないからこそだと思う。

どういうのを作れば売れるのかは誰かに考えて欲しい。それを教えてもらえたら、指示する人の意図を汲み、その人が期待する以上の「どういうの」を作る自信はある。でも本当に結果が出るかどうかには興味がないし、責任をとれと言われても困る。

そんな感じだ。昔から断固として営業を避けてきたのは、自分の興味の方向性をわかっていたのかもしれない。

そういうタイプだというだけで、悪いことではないと思う。でも、少人数のスタートアップにいてこのマインドではよろしくないなというのも薄々わかる。

ビジネスというものに興味を持つ努力をするか、ビジネスに興味がないという欠点を埋めるだけのスキルを身につけるか。

後者がいいんだけど、それってどうしたらいいのかな……なんてことを、最近つらつらと考えている。