実家に馴染めなかった記憶

first
·

わたしは今年度、英語をちゃんとやりたくて通信制短大に入ることにした。

実家に言うか迷ったけど、何かの拍子に知って、入学祝渡したいだの内祝は商品券にしろだの言われても面倒なので、家族LINEで報告して、お祝いは不要な旨を伝えた。

結果、妹からは「さすがです」というスタンプが来て、両親と弟は既読スルーだった。

わかっていたことなので今さら悲しいとか淋しいとかはないけど、実家で暮らしていた頃の、自分の家族に全然なじめない感覚を久々に思い出した。

中2になる娘は、「ここは“おめでとう”か“がんばって”やろ。無視とか“さすがです”ってなんなん?」と呆れていた。

娘の言うとおりなのだけど、家族を戸惑わせる異分子は、わたしのほうなのだろう。

高校3年の夏、「大学生になったら家を出よう」と突然思い立ち、そのまま両親のいる2階へ行って一人暮らしをすると宣言した。

あの日の唐突な決意(女が一人暮らしするなんて概念が存在しない家だったので、それまで思いつきもしなかった)が、わたしの人生を拓いてくれたと思っている。