「見出し」のことをいつもは「タイトル」と言ってます。「章タイトル」や「章題」と言ったりしますが、汎用的な言葉ではない気がするので、この記事のタイトルには「見出し」を使いました。「見出し」か……「題名」の方がまだなじみがあります。
さて、自創作に限定して考えていきます。
ネクタリンでいうと、「物語そのもの」、「章」、「節」の題名があります。だいたいは章立てから手をつけるので、章の題名を付け、ある程度物語が進んでから「物語そのもの」の題名を考えます。仮題も多いですが、仮題を考えた時点で始まってるので仮題=本題です。ネクタリン以外の創作もほぼ同じです。
物語の内容は、独自設定の用語(キャラクター間の隠語含む)が多く、主流から外れたファンタジーと思っています。当初は「1.1.1」などの数字のみで、節に名前を付けるつもりはありませんでした。書き手の能力、文字数を考えると、迷子にならないための看板として、節にも題名を付けることにしました。はっきり言って作者以外が理解できるかいまだに不安です。
ここから、本題の節タイトルの分析について。基本的には、内容の要約と象徴的な単語を示すようにしています。R18小説なので、一瞥でエロとわかる題名、生真面目なフリしたエロい題名を取り混ぜています。できるだけ全体の一貫性を持たせるようにしています。各章は独立していますが、連動しています。どの章でも後半が「外天」という異界が舞台になるため、章末に向かって抽象的・象徴的な題名を採用しています。
第1章 White Noise
1.キフィの帰宅 / 2.注意報 / 3.幻像の講義室 / 4.上級クラスの〈生徒〉 /
5.暗闇の罠 / 6.白い羊の群れ / 7.マーキング / 8.羊角落とし / 9.速報
第2章 Vanta Black
1.保健科目 / 2.苛立ち / 3.黒猫の忠告 / 4.シアの寝言 /
5.キーツ観測局長 / 6.欠けた記憶 / 7.烏の遊戯行動 / 8.一対の翼 / 9.速報
第3章 Twilight Beach
1.日の出前 / 2.シープ・スキン / 3.観測局員の面接 / 4.インクのみせる夢 /
5.廃工場の回収物 / 6.バロの悪寒 / 7.蜥蜴の毒 / 8.薄明カクテル / 9.速報
第4章 Peacock Green
1.消せない絆 / 2.金羊種の誘導 / 3.支援員ラルフ / 4.再会 / 5.嵐の予報 /
6.突然変異体コリデール型 / 7.双子の孔雀 / 8.胸中を暴く / 9.速報
第5章 Crimson Star
1.劣等感 / 2.〈学校〉案内 / 3.クラッシング /
4.TBP=Three Brothers Project / 5.パニックとキャンディ /
6.試作インク / 7.蠍のダンス / 8.勧誘 / 9.速報
第6章 Iris Quartz
1.〈星〉の始末 / 2.〈3兄弟〉の共同生活 / 3.憂鬱と嫉妬 /
4.ベルウェザー認定 / 5.はじめての補助 / 6.局長代理 /
7.採餌体験 / 8.虹の抜け殻 / 9.速報
第7章 Violet Mania
1.異邦人 / 2.中間報告会 / 3.外天由来 / 4.デモンストレーション /
5.蝶と一角獣 / 6.ビオリン・シークレットの効能 / 7.芳香浴の後 /
8.折れた角 / 9.速報
第8章 Lapis Powder
1.北区の海 / 2.半月ベッドの上で / 3.訪問治療 / 4.記憶の断片 /
5.渇きと前触れ / 6.皮を脱ぐ / 7.迷い羊 / 8.潮 / 9.速報
第9章 Champagne Gold
1.疑念と渇望
【補足】現在ウェブにアップしている題名です。最終的には10章9節構成になります。「速報」はタイトルではありません。
8割がた「シンボル」です。物語の鍵となる単語を題名に据えるようにしています。予告のつもりですが、核心を突いているか答え合わせはできませんね。ある程度は遊びで、気に入っていればいいんです。『憂鬱と嫉妬』などの「感情」はそのまんまです。緊張感が出てよし、多すぎるとうっとおしい。『キフィの帰宅』などの「キャラクターの行動」を入れるのも楽しいのでやりすぎは禁物。キャラクター名は導入の要素もあるので、できるだけ前半に寄せています。『幻像の講義室』などの「場所」は世界観とシーンの提示……といいつつ、他に勝るものを挙げられなかった結果かもしれません。『TBP=Three Brothers Project』などの「専門用語」でファンタジーやディストピア要素を感じてほしいです。
こんなところでしょうか。初めて題名を付けようとして、難題に慄いたことは覚えています。今ではこんなに楽しい作業はないな、と思うようになりました。私の好みはシンプルです。長い題名は好みませんが、内容に魅力を感じることができれば、題名は気になりません。所詮は題名。でも、題名ひとつで読み取れるものは多くあり、読む読まないの判断材料になります。読者を意識するなら、「ネクタリン」には副題も必要です。これは、考えるとしても最後ですね。