生演奏を彷彿させる繊細でクリアな美音
今まで通し番号を付けていなかったが、これで10回目。
『グレの歌』は大編成のオーケストラ、混声合唱団、歌手、語りによる巨大な作品。シェーンベルクというと、十二音技法などの前衛的な曲を連想しがちだが、これは若いころに書いたロマン派の作品。
規模がべらぼうに大きいので、コンサートで聴く機会がなかなかないのだが、コロナ禍前に、この大曲を生で聴くという夢のような体験をした。広いステージの床がほとんど見えないほどの大人数に、まず圧倒されたのを覚えている。
小澤征爾がボストン響を指揮したCDは、立派な演奏だが、残念ながらアナログ録音のため、終曲のフォルティッシッシモ(fff)で音が飽和してつぶれてしまっている。この規模になると、やはりアナログ録音では厳しい。
しかし、この録音(デジタル録音のはず)は見事。生で聴いた印象に近い美しい音の響きで、特に響きの透明感がすばらしい。
レーベルはBrilliant Classics(原盤はSchallplatten?)。録音会場は不明だが、音響の感じから推測すると、いつものドレスデン・ルカ(ルーカス)教会かな?