日本語の翻訳に特化したPLaMo翻訳という機械翻訳サービスが出たと聞いて、ちょっとだけ試したけど、いきなり残念な結果だった。冠詞の処理ができていない。
【原文】U.S. President Donald Trump once more appears to be losing patience with Vladimir Putin’s warfare in Ukraine, but it remains unclear whether he will actually toughen his stand against the Kremlin leader. (https://www.japantimes.co.jp/news/2025/05/27/world/trump-putin-ukraine-limbo/)
【PLaMo翻訳】米国のドナルド・トランプ大統領は、ウラジーミル・プーチン露大統領によるウクライナでの軍事行動に対し、再び忍耐を失いつつあるようだ。しかし、実際にクレムリンの指導者に対してより強硬な姿勢を取るかどうかについては、依然として不透明なままである。
文末のthe Kremlin leaderを「クレムリンの指導者」と訳してしまっている。しかし、この訳だと複数の指導者(プーチンを含むかどうかは不明)を指しているように見えてしまう。原文は単数形。私なら、これを「プーチン」と訳す。プーチンを言い換えた表現だからだ。
ご存じの人も多いと思うけど、英語は同じ言葉の繰り返しを忌み嫌う言語なので、新聞記者や文筆家など、お金が取れる文章を書く人は言葉を頻繁に言い換えるし、言い換え方が上手い。上に挙げた文では、Putinという人名をすでに使っていたので2回目は言い換えたわけだ。
実は、翻訳スタイルにはいろいろあって、こういう場合でも原文の字面に忠実に訳すべきと考えている人もいると思う。この場合は、たとえば「このクレムリンの指導者」というように。ただ、私はこういう直訳派ではないし、日本語ではこんな言い換えはしないのが普通なので、私なら「プーチン」と訳すというわけ。
こういうところの訳し方はGoogle翻訳が妙に気が利くんだよな、と思って試した結果が以下。
【Google翻訳】ドナルド・トランプ米大統領は、ウラジーミル・プーチン大統領のウクライナにおける軍事行動に再び我慢の限界を迎えているようだが、プーチン大統領に対する姿勢を実際に強めるかどうかは依然として不透明だ。
「プーチン大統領」と訳した。さすがだ。
念のために、改めてGoogle翻訳を確認したら、今度は「このクレムリン指導者」と訳した(冠詞を訳出している点に注目)。機械翻訳では、同一原文を翻訳しているのに、こんなふうに訳が変わることがある。PLaMo翻訳も毎回少しずつ違う訳を返すようだ。