文章

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隣の席の女子がノートの切れ端を折って、「これ回して」と頼んでくる。授業が終わればいくらでも話せるけど、ノートの切れ端だからこそ書ける文章がある。手紙はいよいよ誰かに到着し、その子の肩が小刻みに揺れる。

オレンジ色の元祖SNSを開くと、燦々と光る赤文字。「◯◯さんからコメントがあります」。そういえば、足あとをつけずに日記を見る裏技があるって聞いたけど、結局誰も探せなかった。

ロングメールは高いけど、スカイメールじゃ文字数が足りない。改行を駆使しながら、複数パラグラフを同時並行で会話するから、「このテーマ部分そろそろ閉じて、あの話題いこうかな?」という編集点を探す高度な作業。

ジオシティーズの無料レンタルサーバーで日記を書いていたら、母親から「あんたは文章が上手だね」とメールが届いて、恥ずかしくなって、すぐ消した。

執筆が仕事の一つになった。授業中に回す手紙と、mixiと、ロングメールと、ジオシティーズ日記の経験が、明日のパン代を稼いでいる。