2024年のキーボード活動の振り返り

foostan
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キーボード #1 Advent Calender 2024 23日目のfoostanです。今年の活動について振り返ります。

Corne v4

Corne v4を今年の2月にリリースしました。詳細やv3からの変更点は以下をご参照ください。

https://github.com/foostan/crkbd/releases/tag/v4.0

また5月ごろより遊舎工房様よりCorne v4 Cherry および Chocolate を販売開始しており、ありがたいことにご好評いただいております。

GitHubのfoostan/crkbdレポジトリのスター数も順調に伸びており、この1年間で2k弱増えて6kに届きそうです。ありがたい限りです。

数字だけ見ると順調ではあるもののリリース後にいくつかのトラブルがありました。今後同じ問題を踏まないように自分自身や同じ活動をしている方々に向けてまとめておきます。

パーツの在庫不足

Corne v4ではよりコンパクトに収めるために自作キーボードでよく使われているPJ320Aではなくmid-mountなパーツを使っています。

もともと使っていたパーツはST-0277D00-052-142でしたが、このパーツがJLCPCBで扱われなくなり、Elecrow等でも入荷できないことからパーツの変更を余儀なくされました。mid-mountなTRRSコネクタのパーツはいくつか選択肢はありましたが射出成形の専用ケースを修正するわけにはいかないので使えるパーツはかなり限られました。最終的に安定的な入手が可能そうなパーツに置き換える事が出来ましたが、代替パーツが少ない状況は可能な限り設計段階から避けるべきだったと反省しました。なお修正内容は以下から確認できます。

https://github.com/foostan/crkbd/releases/tag/v4.1

しかし、デファクトなパーツを選択しても同じような状況になることもあります。

キーボードのパーツとしては一般的なkailhのキーソケットのパーツがJLCPCBで扱われなくなりました。何度かサポートとやり取りをしましたが私では状況を変えることは出来ませんでした。需要はあると思うんですけどね、キーボードの基板発注はまだまだニッチなんだと痛感した出来事でした。

ただこの件については個人利用範囲であれば自分で半田付けすれば良いし、大量発注の場合はElecrow等の別のベンダーを利用するか、JLCPCBでもパーツを個別で送ればやってくれるので対処は可能です。

EMS低下による不具合

Corne v4からはProMicroを廃止してICを基板に直付けしています。これによりスペースの確保や製品としてのクオリティ向上を狙ったわけですが、EMS(電磁感受性)がよくなかったためか特定の使用条件によって外来ノイズによる不具合が発生する事が分かりました。ご不便をおかけして申し訳ございません。

具体的には携帯電話をキャリア通信(4G/5G)にした上でCorne v4のIC付近に近づけるとキーボードとして認識しなくなったりLEDが誤動作するなどの不具合が生じる場合があります。他にも条件があるかもしれませんがこれ以外はまだ明らかになっていません。もし不具合に遭遇した場合はこのような状況になっていないか確認してみてください。

この問題に対してはICおよびクリスタルが基板のエッジに近い事が原因のひとつとし、それらを基板の中心部分に移動する事で対処することにしました。現在プロトタイプで検証をしていますが今のところ不具合は発生していません。

この不具合に関してはこちらでやりとりしているため何かお気づきの点がありましたら共有頂けると非常に助かります。もちろん日本語で構いません。

Cornelius Low Profile

昨年の年末ごろから準備していたCorneliusのLow Profile版を9月に販売開始しました。発注から梱包まで個人で行なっているため少量ずつにはなりますが、定期的に在庫追加を行っていますのでよろしくお願いします。

コンセプト

CorneliusのLow Profile版を出そうと思ったきっかけはLofree Flowでした。ロープロのキーボードとは思えない打鍵感に衝撃を受け、もともとロープロのコンパクトさは好きだったのもあってすぐに設計を始めました。コンセプトは以下のとおり

  • アルミ削り出しの満足感の高いボディ

  • ガスケットマウントを採用したこだわりの打鍵感

  • 既製品に劣らない綺麗なパッケージング

なおロープロだからと極端に薄くするということにはこだわりませんでした。むしろリストレストなしで使える範囲で厚くできるところは厚くして重量を増しています。

Low Profile専用設計

コンセプトの上2つはCorneliusのものであり、Low Profile向けに設計するにあたってこの辺りはなるべく妥協せずに考慮した点になります。ドーターボードをUnified Daughterboard S1にするなど細かいアップデートをしつつ全体的に薄くしています。キーボードの打鍵角度は5°に変更していますが、何度か試作を繰り返した上でロープロとして丁度いい角度になるように設計してあります。

パッケージング

アルミの塊を送ることを考慮すると破損のリスクを抑えるためにしっかりとした箱が必要だと考えました。この点はCorneliusの時からもそうだったのですが、今回もフォーム材に囲まれた専用の箱を設計しています。箱の製造は日本のディーキューブ様にお願いしました。

また箱全体をシュリンクフィルムで包装するなど、お店に並んでいても遜色のない見た目になるように心がけました。手元に届いた時に満足感を感じて頂けていると幸いです。まだまだ上手に梱包が出来ているとは言えないのでブラッシュアップしたい点の一つです。

また今回は専用のソフトケースを作成しました。こちらは寸法調整とロゴを付けただけの簡易設計にはなりますが、利便性や満足感を上げる要素の一つになっていると嬉しいです。

終わりに

今年はCorne v4やCornelius Low Profileなど数は少ないものの中身の濃い1年になったと思います。来年以降もこれらのプロダクトは継続しますし、アップデートも続けてまいりますので引き続きよろしくお願いします。またCorneの超薄型版も検討していますのでお楽しみに。