同じような色の日々をつなげて、たまにぷよぷよみたいに消したくなる

ume
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公開:2023/12/2

夏からつい先日まで、週に何度か、仕事をはじめる前の朝の時間に近所の川沿いをジョギングする生活を続けていた。なんだか退屈で、あたらしくて良い習慣がほしかったから。持久走の授業ではほとんど最下位を取っていたくらい、走るのなんて苦手なくせに。

でも、晴れた日に新鮮な空気を吸い込んだり、太陽にきらきら反射する水面を見たり、同じ時間にいつもすれ違うおおきな犬の名前を想像したりしながら走るのは楽しかったし、何よりちょっとずつ走れる距離が伸びていく感覚が好きだと思った。旅先で走ったりもした。「運動が苦手」だって自分にキャラ付けしているのは自分で、本当は体育の授業が嫌いだっただけなのかも。

そうして生まれた習慣だけど、最近はとてつもなく寒いから、厚い毛布から脱け出してウェアに着替えて走り出すことがすごくおっくう。だから無理はせずに、散歩がてら好きなパン屋さんに朝ごはんを買いに行ってみたり、ピラティス(これも夏くらいから習いはじめた)レッスンを増やしたりしている。これはこれですごく健康。そしてどんなに良い習慣が増えたとしても、私はやっぱり退屈。

バルコニーの洗濯物をたたむ。アレクサに『今日のニュースを教えて』と頼む。平坦な毎日を退屈に感じていることが贅沢だって、頭を殴られるような気持ちになる。屋根のある家で寝起きして、好きなときに好きなものを満足に食べられて、ここではないどこかに旅にも出られる。

空の色が薄くなったような気がした瞬間にはもう、秋が終わって冬。転がり落ちるように過ぎる日々の中では、季節の匂いがわかることだけでかろうじて、生きてんなと思う。