「ハンマーを持つ人にはすべてが釘に見える」と伝えてもハンマーを手放してはくれない。

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「ハンマーを持つ人にはすべてが釘に見える」という言葉がある。

現代ではこの言葉は「固定概念や成功体験から、一つの手段に固執してしまい、すべての課題や目的に対して同じ手段を使い続けてしまう。」という意味で用いられる。

ネジであろうと、ホッチキスであろうと、穴を開けたいときであっても、すべてをハンマーで解決しようとしてしまう。実際のところネジもホッチキスも穴あけも、最適でないにせよハンマーでなんとかなる。

ある人にとってはそのハンマーこそが至高であり、最も良い解決策に見えている以上、「ネジはドライバーで回したほうが良いよ。」と伝えたところで「慣れてるハンマーのほうが早い」とネジをハンマーで叩き続ける事になる。ともすれば「なぜハンマーが良いと言っているのに、誰も気づかないのだろう。愚かだ。」となるまで凝り固まってしまう事がある。

こうなった人には何を伝えたところで徒労になりがちで、自分が使える道具(ハンマー)を用いた解決策しか出てこない。なおかつ周りも「他の道具を勧めてみたけどあれこれ理由をつけて断られて面倒だったし、とりあえずハンマー振り回させておこう。今のところ成果は出ているわけだし。」となる。将来ハンマーの彼・彼女がハンマーだけでは立ち行かないと気づいた時には、時すでに遅しという状態になるのだが、彼・彼女の未来の為に「うざらがれても良い」と思ってアドバイスをくれる人は、なかなかどうして居ないものである。

ある程度歳を重ねて、技術的にも仕事的にも使える道具が増えてくると慢心しがちではあるが、なるべく多くの道具を手にとって振り回して生きていきたい。