大Agentic Coding時代に、エンジニアは筋トレを始める。

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公開:2026/2/16

Agentic Codingが大流行である。ソフトウェアエンジニアは誰も彼もがClaude, Cursor, Codex, Antigravityを用いてコードを書く、いや書いている様子を眺める時代がやってきた。

今ではまだ成果物が適当かを確認するために技術力が求められる場面が多いが、Agentはどんどんと進化しているため、遠くない未来では「俺より賢い実装だ」とほぼすべての変更が受け入れられる品質になるだろう。

さて、こうなってくると「エンジニアの存在価値とは?」となってくる。なんだかんだで最後に『責任』を取るためにヒトの存在が必要になってくるが、そうではなくエンジニア自身が自認できる存在価値の部分になる。

これまでの技術コミュニティではOSSを開発したり、Webアプリを構築したり、技術ブログを書くことで、コミュニティに対して価値を提供し存在感を出すことができた。しかし、これらの多くはAgentic Codingで代替が可能になってしまった。より正確に言えば価値が薄まった。どれだけ良いものを作ったとしても、「AIでさっとできそう」という考えが多くのエンジニアの脳内をよぎるだろう。一昔前であれば「たった一人でこの規模のライブラリを!?」となったであろう成果物でさえ、「AI使えば簡単だろうな」とその価値は希薄なものになった。

Agentic Codingの世界では、マネジメント能力や言語化の能力が大切だと言われている。そうなると参考にすべきはマネージャーやプロマネと言われる職域の人々になるだろう。

さて、これら職域の人たちが悩み・陥りがちなことがある。それこそ「自分いなくてよくね?」問題である。もしチームやプロジェクトが大荒れに荒れていれば、それをハンドリングするために多忙となり、価値を感じやすい。が、そのような状況は誰も望んでいないため、安定させていく。

そして良いチームで良いプロダクトが作れるようになったとき、優秀なメンバーは適切に議論を重ね、良い方向にプロダクトを改善していってくれる。そのような状態でマネージャーやプロマネが行うことは、「確認お願いします」のメンションを眺めて承認ボタンを押すだけになってくる。Agentic Codingみたいだ。

加えて、チームが整っていくと、チームやプロダクトでなにか大きい成果が生まれた時、それが自分の成果だと感じられなくなってくる。自分は確認して承認しただけで、実働したのはメンバーたちなのだから当然と言えば当然ではある。

優秀なチームメンバーたちに称賛と敬意を、そして自分の存在価値に疑念と不安を。

このように職域が対モノから対ヒトに変わっていくと、「自分の成果」だと言える領域は殆どなくなっていく。Agentic Codingで作られたコードについても、多くのエンジニアは「AIがやってくれたんで自分は何も」という感覚を持つだろう。

そうなってきた人々は次の2つにハマる可能性が高い。

  • 筋トレ

  • SNS・Youtube運用

一昔前ではここに蕎麦打ちなども含まれただろう。これらに共通することは「自分の頑張りが数値として視覚化される」ことである。筋トレであれば体重に変化があり、持ち上げられる重量が増える。SNS/YouTubeであればフォロワーやチャンネル登録者が増える。こんなに分かりやすく努力と成果が紐づくことはない。

これらだけに限らず、わかりやすく努力が数値として確認できるものを始めるエンジニアが増えるだろう。ずっと技術的なトピックしか扱ってこなかったアカウントが、技術について話さなくなり、これら『数値的価値が見える』ものの話ばかりするようになったら、優しくミュートしてあげてほしい。