リモートワークが一般的な世界になってから、「ミーティングで相槌や反応が返ってこなくてつらい」という話を各方面から聞くようになった。自分はあまり気にしないタイプなのだけど、つらい人はつらいのだろう。
そうして新しい視点を得た後でミーティングを聞いてみると、つらいと言っていた人も存外に相槌・反応をしていない事が分かった。
返報性の原理というものがある。この原理は
好意の返報性
良いことをしてもらったら、おかえししたくなる
敵意の返報性
敵意を向けられたら、敵意を持って返したくなる
譲歩の返報性
相手が譲歩してくれたら、次は自分が譲歩したくなる
自己開示の返報性
本心を打ち明けてくれたら、自分も心を開いて接したくなる
に分解できる。
ミーティングにおける相槌や反応は、好意の返報性を利用するとスムーズにいくかもしれない。自分から相槌や反応を積極的にしていくことで、それを心地よく感じた相手からも相槌や反応を受け取ることができる。
コミュニケーションの分野でいくと、疎外感を感じるときには自己開示の返報性が使えるかもしれない。人間は「この人はあまりかまって欲しそうじゃないな」という人は放置しようとするし、「なんかグイグイ来るな」という人は積極的に声をかけようとする。イベントによく誘ってくれる人はこちらから誘いやすいし、毎回なんらかの理由をつけて断ってくる人は(真の理由がなんであれ)あまり誘わないようになっていく。
あまり自己開示をせず本心が読めない人は、よく分からないのでコミュニケーションはとりにくい。触らぬ神に祟りなし。変な地雷は踏みたくない。しかし、そういう人に限って孤独感や疎外感を感じていたりする。
コミュニケーションは鏡写しであって、自分の行動によって相手の行動も変わってくる。逆に言えば自分に対する周囲からの扱いは、自分が引き起こしている可能性もある。
無理をして明るく元気で闊達な仕草をし、何でもかんでも自己開示をする必要はないが、自分がされて快いコミュニケーションを自分から積極的にしていくのは大事だろう。