『逆張り』という言葉があり、よく逆張りオタクというワードで使われる。定義は様々だが、ここでは「メインストリームを敬遠し、自分が見つけたニッチなものを好む人」の意で書く。
メインストリームを避け、ニッチな領域を自ら探求し、同好の士達との交流は非常に楽しいものである。人は誰しも「自分の手で見つけたもの」を良いものだと感じる。
一方でこの『逆張り』は中年になってからは一転し、逆張りが【順張り】に転じてしまうと考えた。
加齢で負えなくなるコンテンツ
加齢に伴って「アニメを見なくなった」「ゲームをしなくなった」「小説を読まなくなった」という声はよく聞くだろう。そして「自分はそうはなるまい」と念じた多くの人々が、先達と同じようにコンテンツを負えなくなっていく様子を何度も見てきた。
シンプルな体力の低下、仕事での責任の増加、結婚、育児、介護など私生活の変化と様々な要因が考えられるが、可処分時間が減っていくため消費できるコンテンツ量も学生・若者時代のそれと比べて圧倒的に減少する。
『逆張り』をするためには様々なコンテンツを自ら探し続けなければならない。流行りは簡単にSNSに流れてくるが、ニッチなコンテンツはそうではない。しかし、メインストリームすら追うことが難しくなる可処分時間減少の状態では、自ら探求する時間を確保することは非常に難しくなるだろう。
しかし、逆張りを続けてしまうとメインストリームを避けて、ニッチなコンテンツを探している途中で力尽きてしまう。以前までは海の深いところまで潜って様々な魚介類を探していたのに、浅瀬でチャプチャプ顔をつけているだけになる。
結果として、メインストリームから少しズレただけのコンテンツを少しだけ消費することになり、流行も知らずニッチな分野も知らないという中途半端な状態になってしまう。
逆張りが順張りに転じる
結果として、
流行りものを追わないため知識が数十年前で停滞している
新しいものを「◯◯の焼き直しね」と古い枠組みでのみ捉える
一昔前のコンテンツだけ異常に詳しい
こだわりが強く頑固
という中年ができあがる。よくよく考えてみると、こういった中年はよく見るのではないだろうか。流行りに疎く、頑固で、一昔前のコンテンツだけやたら詳しい中年だ。こうなってくると『順張り』の加齢結果になってしまう。逆張りを続けると順張りに行き着く。
メインストリームをしっかりと接種するというあまりにも順張りな結果が、「最新コンテンツもちゃんと詳しい」という稀有な逆張り中年への道になっている。もしくは、順張りも逆張りも関係なく、ただただ自分が好きなものを追い続けていくのが良いだろう。