認知症になった祖母と話せなくなる前に。

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年始の挨拶で両親とLINE通話していた。

祖母の認知症が進行しており、深夜徘徊しそうになったり、会話が要領を得なくなったり、人間の名前と顔を忘れ始めてきた。いよいよ介護度も上がりそうで、介護施設に入るのも近いとのこと。

最近では新型コロナの影響で、病院も介護施設も「同居している家族以外」の面会は基本的に謝絶状態になっている。つまり、実家に住んでいない自分や兄弟は施設に入った祖母に、「もう何もわからなくなった上に、死ぬちょっと前」まで会えなくなる。

「そしたら、あさって実家に帰るか。日帰りで。」

と弟と予定を合わせて帰省することにした。

両親が言うにははっきりタイムとぼんやりタイムがあるらしく、はっきりタイムではちゃんと話せるようだ。運良くその時間に話せると良いなと思いつつ帰省し、祖母に挨拶をした。

「あぁ、丸くなったねぇ。」

と言われた、どうやら自分も弟の事も認識できたようだ。2人共、最後に祖母に会ってから随分と太ったので、その差分も分かるようで丸くなったねぇとしきりに言っていたし、嬉しそうな顔をしていたので、こちらも嬉しかった。

二言三言、会話が通じているのか、通じていないか。本当のところはよく分からないけれど、祖母と話ができた。

今思えばもっと帰省しておけば良かったとか、様々な後悔はあるけれども、今このタイミングという「絶対に逃してはいけない」という時を過ごすことができた。

ただそれだけで、ただそれだけな、後を追うであろう人間の自己満足なだけだが、話せてよかった。