中堅の停滞期、ゆるやかな死。

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仕事もそこそここなせるようになり、周りの人間も安心してタスクを渡せる「中堅」と呼ばれる層。ある程度難しいタスクも自走して調査・調整をしてゴールまで導いてくれるが、ベテランレベルである「1人で全てをいい感じにしてくれる」には至っていない。

中堅層になると急に成長が鈍化する。この原因を考えてみる。

褒められなくなる

若手であれば少しの成果でも褒められ称賛される。しかし中堅層になると褒められることがほとんどなくなる。これは「この程度のことやりきれて当然」と本人も周囲も考えていることと、「褒めたら逆に失礼になるかも」と周囲が考えるため、よほど大規模な成果をあげなければ褒められなくなる。

褒められなければ当然ながら自己肯定感は下がり、モチベーションも低下する。褒められるなどの外的な報酬に期待が持てないのに、成長を続けるのはなかなかに難しい。

指導・注意されなくなる

指導・注意は多くの場合上長・先輩など上位の人から行われる。中堅になれば、もしくは歳を重ねれば、本人が望まなくても周囲からの権威は増加する。よほどの胆力がなければ後輩や部下から指摘が来ることはない。年齢を重ねると自然に年上よりも年下の比率は増えていくため、ただぼんやりと生きているだけでチャンスは減り続ける。

また、企業としては「そこそこできる中堅」と「右も左も分からない若手」であれば必然的に後者を手厚くサポートし、中堅は放置されやすい。

「こなし」が上手くなる

良さでもあり悪さでもある。任される仕事量が増えて規模も大きくなるため、こなしていかなければ仕事が回らなくなる。100点ではなく70点を取り続ける仕事が上手くなっていくし、それによって評価が落ちることもない。が、成長することもないし、面白くもない。

このループに陥ると「なんかおもんない」というきっかけから異動や転職を選ぶことが増える。しかし「こなし」の癖はそんなに簡単に抜けないので、環境変化後の高揚状態が終わるとまた「こなし」の状態に陥る。結局、「こなし」を続けるとマズいと自分で気づくか、「こなし」をしている余裕がない程に激しい現場に行くしかない。ただ、こなしで筋肉が緩んだ中堅がこのエネルギーを持っていることは少ない。結果として「こなせそう」なフィールドを転々とするだけになってしまい、特に成長することがない。


いわゆる「コンフォートゾーンから抜け出す」動きをしなければ「そこそこ仕事ができる、そこそこの人」になる。何が問題かと言うと、実は何も問題ではない。そこそこできるのだから、給料もそこそこもらえるし、仕事もそこそこに楽しめる。

とはいえ人間とは不思議なもので、どこかのタイミング、そしてそれは多くの場合にもう手遅れな年齢の時に「私の人生はこれで良いのか?」と気づく。

社員の大半が自分より年下で、教えを乞うべき先輩は引退し始めている。今更別の職域や職種にも移れないし、寝る間も惜しんで働く体力もない。

そんなタイミングで。