テキストのインターネットとフォルクスワーゲン・トゥーラン

fugenbo
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 2023年ってどんな年だったかな?というのをクリスマス以後ぽつぽつと考えていた。で、「知りたい情報が、テキストで、無料では手に入らなくなった境目の年」というのがわたしの2023年だったかなと。

 インターネット老人会風味が出てしまうのがどうしても避けられないのだけれど、昔インターネットには、ただ自分を満足させるためにひたすらアウトプットを重ねる、修行僧みたいな人たちがたくさんいて、当時学生だったわたしは本当に「全てがここにある」と思ったものだった。もちろん、その後何回かの出来事を経て、あれは青春の思い込みだったなあという自覚は持っていたが、それにしても。

 一つは、価値のある情報はお金をいただきますね、という変化。これは本来は当たり前で、個人が発信する情報でも、価値のあるものにはお金が払われるべきだ。でも今までそうでなかったぶん、今年はその有料の壁を意識する機会が多かった。楽しみにしていた連載が急に有料会員向けのみになったり、知りたい・読みたいと思った記事が有料noteだった、という経験を今年は沢山した。

 もう一つは、セミプロみたいな立場の人が、みんな動画にいってしまった。実は今年は過去イチYoutubeを見た時間が長かったと思っていて、今までだったらテキストで見れたはずのものが、動画になっちゃうんだよね。確かにリッチで、情報量が多い一方で、作り手と読み手がそれぞれ労力に見合った対価を得られているのか?という疑念はまだ持っている。Youtubeは、プレミアム会員に登録しようかと何度か考えて、でも音楽がSpotifyなので結局迷ったまま年を越してしまいそうだ。

 ここまではテキスト好きの残念な気持ちの吐露でしかないのだけれど、「では、あなたは何某かの有用な情報をインターネットのテキスト界に放ったんですか?」と聞かれると、それが皆無なのが苦しいところで。あまり価値のある情報もないし、感性もないけど、比較的日本語の記事や動画の少ない車に乗っているので、この後何本かその車について書くことができればな、と思っている。それにしても、仕事意外でまとまった文章を書くことが久しぶりなので、体裁や言葉遣いからどうも難しい。

 フォルクスワーゲンのゴルフ・トゥーランという車に乗っている。1月に乗り換えて、もうすぐ1年が経つ。ふだんは5人乗り、いざとなったら7人乗りのコンパクトミニバンで、昔はストリームやプレマシー、ウィッシュなどと一つのカテゴリーがあったのだけれど、いまは全てフリードとシエンタに滅ぼされたジャンルである。それでも東京郊外に住むわたしの家の周りでは、妙によく走っているのを見るのだけれど、数が出ないファミリーカーということで、総じてレビュー(記事)もあまりないし、デビュー年が少し古いので、レビュー(動画)もあまりない。

 残念ながら2015年デビューの現行トゥーランは、おそらく次のモデルチェンジなくディスコンしていく車種であることがほぼ決定していて、そしてトゥーランがなくなることで、背が高くない7人乗りワゴンは日本から本格的に消滅する。乗り換えた理由も、消えかけの蝋燭が強く燃える瞬間を当事者として見たかった…という部分が強くて、極まった実用車なのに、時代的に謎のロマンを背負ってしまったことにグッときてしまった。そして消滅するものをそっと記録しておくのって、しずかなインターネットっぽくないですか?

 というわけで、何回か続けたい。この不幸なジャンルとトゥーランについて、書き残す時間をわたしに頂戴、と来年の神様にお祈りする。

@fugenbo
仕事をしてたらタッチタイプができるようになったけど、文章は逆に書けなくなった。国道16号線沿いで生まれ、産まれたのと反対側の16号線沿いに住んでいる。