1日目
現地が20度超えと聞いて薄着で家を出たら、東京は真冬の寒さで、夫と二人無言になりながら羽田を目指す。出発1時間前に羽田着。初めて、早すぎない時間に空港に着けた気がする。乗り遅れが怖いのと、途中で何かあってもリカバリーできるようになどと思うと、国内線にタッチ&ゴーで乗るのに2時間前に着いちゃったりするから…。
現地は今日だけかろうじて曇り、明日は大雨の予想だった。残念だったが、数日前からちらちら見ていても天気予報が全く変わる気配がないので、全身を撥水加工のもので覆いつくして出発である。到着機遅れで定刻の10分後に離陸。鹿児島空港に着いたら予報通りの、ぬる~い曇り空だった。
高速バスで、宿泊するホテルのある天文館に移動。1時間くらいかかる。割と遠い。とりあえずお腹が減ったので、せっかくだから行列店っぽい鹿児島ラーメンを食べよう!と目についたラーメン店に並んだら、行列店というより手際が悪いだけの普通のラーメン屋だった。夫と苦笑い。鹿児島ラーメンはあっさりめの豚骨でチャーシューが分厚かった。麺がやわい。なぜか大根の漬物がついてくる。私は紅ショウガやゴマが好きなので、博多ラーメンの方が相性いいかもなあと思いながら初めて鹿児島ラーメンを食べた。
火山地形のせいなのか、平地の繁華街のすぐ背後にものすごい存在感の高台がある。鹿児島出身の人に聞いたら老舗ホテルがあって、展望台があると言っていた。ガイドブックではバスで行くルートだったが、登れそうだったので徒歩で行ってみる。急登を10分ほどで、かなりの高さを稼いで登りきることができた。食後の運動にちょうどいい。桜島は雲に覆われて見えずだが、晴れてたら気持ち良いだろうなあ。
帰りはなだらかに降りられる遊歩道を選ぶ。下山したところに鹿児島近代文学館があり、いい感じだったので寄ってみる。椋鳩十と島尾敏雄と向田邦子と林芙美子あたりがフィーチャーされている。そろそろ疲れてきたので宿にチェックインし、私は眠気にあらがえず昼寝。夫はまた一人散歩に出かけたらしく、私が目を覚ますと窓際でおつまみのスルメをしゃぶっていた(マイペース…人のことは言えないが…)。
一応初日だけは郷土料理のお店を予約していたので、刺身とかきびなご、黒豚の冷しゃぶサラダとかを食べる。鹿児島の甘いしょうゆで旅情を感じる。
道にはセピア通りと名前がついていた。多分鹿児島の個人店の飲食店が集中しているエリアなんだろう、老若男女が入り乱れて皆お酒が入り、ちょっと柄が悪い。食事はそこそこにそそくさと繁華街を後にして、お目当ての銭湯に向かう。温泉銭湯に入るのが大きな目的なのだ!街灯の少ない真っ暗な道をわくわく進む。霧島温泉に到着。木製の脱衣所に古いタイルの浴室。真ん中に配置された浴槽にジャンジャン温泉が注がれている。すばらしいなあ~。水風呂もあるので、いつも通り、水と湯に交互に入りまくる。
Tシャツとジャージだけで宿に歩いて帰れるほどあたたかい。ホテルの部屋でじゃがりこを食べながら夫とジョブチューンを見て早々に寝落ちした。
2日目
今回の旅行のメインイベントである平川動物公園へ向かう。予報通りの土砂降りだが、全身登山用の雨具で固めた私たちに死角はない。
天文館から動物園行バスも出ていたが、1時間に2本程度で、なんか途中で下車とかしたときにリカバリーがつらいな…と思い、市電(路面電車)の終点まで行き、そこからバスを乗り継いで20分ほどというルートをとることにする。市電の乗り方は昨日学んだ。Suicaは使えないので170円ちょうどをポケットに忍ばせておく。1両の市電は結構揺れながら、南へ30分程度走り続けた。本当に均一料金でいいのか?と思ったが均一料金だった。市電の終点は、ロープウェーの終点みたいな感じの小屋で、かまぼこ型の屋根がかわいらしい。
しかしこの時の雨はもはやゲリラ豪雨の勢いで、雨具と傘で浸水はしてこないものの、バスに乗るのも迷惑なずぶぬれになってしまった。やってきた動物園行のバスは私たち以外に二人乗っているだけ。そうだよな、誰が好んでこんな日に動物園行くのかっていうね…。タオルでちゃんと拭いてから座席に座りました。車両は、座席シートにみんくるが印刷された都バスのおさがり。20分ほどで念願の平川動物公園に到着するが、ゲートの写真すら撮る余裕がなく、入場即コアラ館直行(園内バス、ありがとう…)。
ガラスのない新コアラ館、コアラが近い!部屋の中はクランクのような形で人が歩く通路が通してあり、通路以外の場所の高い位置に組んだ木の上にコアラがいて見上げる形になっている(ウォークスルー形式ってやつですね)。もちろん屋内なのでここまでくれば雨の心配はなく思う存分コアラ鑑賞。飼育員の解説の間、起きて活発に動くコアラも見る事ができて非常に満足した。悪天候の旅でもそこそこ楽しめたのは、第一目的が達成できたからだろうと思う。
市電の谷山電停まで戻った際に、甘いにおいに誘われて食べた蒸気屋(かすたどんで有名)の「焼どうなつ」がめちゃめちゃおいしかったことを申し添えておきます。
あまりにずぶ濡れで明日も雨予報で、着替えが足りなくなる気がしてきたためホテルに戻って洗濯。日本のホテルは洗濯機も湯沸かしポットもあって最高だ。結局旅先でも普段の生活がしたくなる。
この日も夜は霧島温泉に行き、ドバドバの温泉でゆらゆらしてきた。
3日目
この日も雨…。予報でわかってたけど、正直飽きたよ雨…。
桜島を散策する予定でレンタカーも予約していたのだが、そもそも島が見えない。レンタカー屋さんに電話をかけたら、「今日は一日何も見えないと思う、キャンセルもできるよ」と同情してくれた。とりあえずここまで来たし上陸だけはしようと夫と話し合い、桜島フェリーターミナルへ歩いて向かう。
桜島までは15分。後払いの船に初めて乗った。下船時に一人200円払う。シャトルバスかケーブルカーのように乗る乗り物らしい。20分に1本出発で、ほとんどピストン運転。湾内は静かで、車より揺れない。霧が出ていて、空も海も島も真っ白。
桜島の中は足がないと移動がきつい。レンタカーは2時間から借りられると聞いてとりあえず一周してみようとなった。島は一周40分くらいで、信号は2-3か所しかなく、夫は運転が好きなのでわくわくしていた。溶岩なぎさ公園と、溶岩展望台をレインコートで歩いて、松林と海岸と溶岩を見納め。
昼過ぎ、フェリーで鹿児島に戻る。天文館でお土産を物色しながら余裕をもって空港に戻り、肉うどん食べたり足湯に浸かったり。温泉三昧により社会復帰できる気が全くしない。
鹿児島⇒東京便はわずか1時間半のフライトで、羽田から自宅への移動の方が、電車遅れ諸々で時間がかかったくらい。どうしても外食がしたくなくて、お惣菜を買って家で味噌汁を作り、ご飯をチンして夕食をとり沈没。荷解きは明日…。