鉄扇音頭(7月20日納涼祭)

fukiteasobiki
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公開:2024/7/28

練習会については前の記事に書きました。

今回は7月20日の納涼祭のことを。参加する前に、「京都の歴史と文化映像ライブラリー」で92年に制作された鉄扇音頭のドキュメンタリーを見ました。

このイメージもあって、音頭は密やかに行われるのかなと思いこんで現地へ行ったらびっくり。会場の公園にはたくさんの出店があり、若い子供連れがたくさん! 子供もたくさん。そして会場じゅうに大音量で洋楽やポップソングが流れていました。

ちょっと面食らったけど、中央には伝統を感じる古い木製の櫓が鎮座しています。櫓って、今はほとんどが金属製の足場っぽいものが多いので、情緒豊かですごく良い感じ。しかしとにかく会場から浮いている。

キョロキョロして一旦公園の外に出ると、向こうの路地から浴衣のような衣装を着た女性が歩いてきました。練習会で教えてくれた方! 駆け寄って、私この前の練習会に〜とゴニョゴニョ言うと、わかってるよよく来たね、とテントの裏に案内してくれました。

ほかの学生さんたちはまだ来てなくて、私たちが一番乗りみたい。歌い手のおじさんが「いい浴衣着てきたね!」と褒めてくださり、八大神社と書いた揃いの手拭いをくださりました(うれしい!)

さて、案内してくれた女性。この衣装が衝撃的に素敵でした。浴衣は白地に紺色の線でレンガのように縦横線がかかり、その上に扇がバン、と描かれてます。

普通の半幅帯の代わりに紺色の前掛けのようなものをかけ、かなり鮮やかなピンク色の細い帯みたいなものが巻かれていました。

何よりも素敵なのが、頭に手拭いをかけるほっかむり! 先の動画でも、頭に手拭い巻いてるのはわかってましたが、この作り方がすごい。下手くそだけど、図解しました。

テントの裏で、次々と女性たちが集まり、みんなでほっかむりを作っていきます。暑いので、手が空いた人が団扇であおいでくださっていて、この時間がなんとも美しかったです。浴衣の白、紺、帯のピンク、手拭いの端に赤、公園の木は鮮やかな緑色で、19時前のあたりはうす青く(マジックタイムというんでしょうか)、とにかく目の前が鮮やかで美しかった。

この目の前の景色を、瞳に永遠に焼き付けたい。この営みがこの先も延々と続いてほしい。そういう厳かな気持ちと同時に、私は余所者としてのばつの悪さや、本当にここに居て良いのかと逡巡する気持ちも沸きました。

その時間がそのままで美しいので、不躾に写真を撮ることもできず、こうして文章にしたけど伝わるでしょうか。

なんと私も、同じようにほっかむりを巻いてもらえました。照れくさいけど嬉しくて、やっぱり少し罪悪感がありました。

「そろそろやろう」と声がかかり、櫓へ。男性陣は小さな櫓の中に吸い込まれるように収まっていきます。

その周りに私たち踊り子。ふと気づくと学生さんたちや他の練習参加者たちも来ていました。そして、その周りをぐるっと囲む地域の幼稚園児!

近くの幼稚園でも練習会があったことは聞いていましたが、今日は一緒に踊るのでした。

太鼓も無いので、歌い手の男性陣の「ひーさーかーたーのー……」という声からゆるゆると始まります。

踊りはやっぱりゆったりと掴みどころなく、必死で目の前の踊り子さんの真似をしました。何周かしたあたりで周りを見る余裕ができ、櫓の上を見ると、男性たちが額をつき合わせるよつにして、音頭をとっています。この景色も美しかった。

周りの幼稚園児たちは、おそらく盆踊りというものを踊ったことがないので、輪になって一方向へ進むという原理がわからず、ギュウギュウづめに輪を作って、中心(私たち)をぼうっと眺めたり、なんとなく体を揺らしたり、手を一緒に叩いたりしていました。それもかわいいけれど、確かに鉄扇音頭はちょっと難しいかもしれないね。

美しいな、かわいいな、おもしろいな、とぐるぐる考えているうちに音頭は終わりました。「今日なんか速かったなぁ」「速かった」と何人かが言っていて、楽器がないし録音源が無いから、テンポが変化するんだなーと実感。

なんだか夢のような時間を過ごして、テントの裏に戻ってほっかむりを取ると、皆「花火の前に一回帰ろ」とパッと帰っていくので、本当に夢だったのかなと思いました。

公園内をもう一度見ると、あの櫓だけが取り残されて、また周りには大音量の洋楽がはじまり、子供達が走り回っていました。

うちわに扇の絵が描いてあるの、ちょっとおもしろい。

@fukiteasobiki
それでは日記を書こうかな!