折り返しも過ぎた月曜日。予定もなければ何もない日なので、とりあえずリュクサンブール公園のきれいになった泉でも見に行って、それから考えようかな、お土産も見たいし、と朝は考えていた日。
朝ごはんは、ホテルから駅までの間に通りがかってたおいしそうなパン屋さんに買いに行った。私はパンオショコラが大好きだ。受け取ってみたらまだほかほかしていたので、食べながら帰る。歩き食いができるところ、パリのいいとこ。もういっこはなんだったっけ?と写真を見返してみたら、ベニエっていうミスドのカスタードクリームみたいなやつだった。そちらはお部屋に帰ってからいちごと一緒に食べた。
土曜日につくってきたお花も、日当たりがいいのでいよいよ満開に。ストロベリーキャンドルが元気にぴんっと立っちゃってちょっとおもしろい。フランスは母の日が日本よりも遅くて、だいたい5月の最終日曜なんだけど、去年はなんか理由があってずれて(聞いたはずなのに覚えていない)6月4日が母の日だった。
最初から日付を書いておけばよかったけれど、6月3日にお花をつくらせてもらうことにしていたので、母の日っぽいものを、とリクエストしておいた。それで、シャクヤクをメインにしたデコレーションになった、というわけです。赤いバラは、とりあえず愛とか感謝とかを伝える機会ならばはずせない、って感じらしい。これだけふくふくと咲いてくれるとうれしい。いい旅行をしている気持ちになる。目に入るたびにときめいて帰る日までお世話もしたし、最終的には捨てずに「どうぞ」ってメモ書き残してお部屋においてきた。
そして窓の外がパリとは思えないね。セーヌ川沿いだったんだけど。ホテルから出て10秒もすればエッフェル塔がどーんと見えたし、交通の便もよかった。ただ、高層だから窓が開かなかったのだけが残念。お肉焼いたときとか、換気扇を最強にしないといけなかったり、それでもなんか足りない気がしたり、ちょっとそこが大変だった。
何言ってるのかはさっぱりわからないが何をやっているのかはよくわかるテレビショッピングなどを見つつのんびりして、いよいよ出かける。
エドガーキネかモンパルナスか、あのあたりで降りて、ジョルジュフランソワのお店の前を通ってリュクサンブール公園へ向かう。
いつもきれいなジョルジュさんのお店の前。
そこそこ行列していて、おいしそうなサンドイッチ屋さんがあったのでお昼を買ってみた。
ムニュ、ってセットになってるやつにしてソーダもつけた。パンは6種類くらいから選べて、ゴマ付きのにしたんだけど、前の人も後ろの人も柔らかいパンを選んでたので、つくってもらってる間に後悔する。中身は、ベーコンが入ってるのにした。このベーコンが肉厚で、ジューシーで、本当においしかった。お店の名前をちゃんと見ておくべきだった……(もう2度とたどり着けないかもしれない)。
リュクサンブール公園の中をまずはお散歩。
養蜂してる!と写真を撮るも、蜂がまったく写らない。
こちらのメリーゴーランドは、真ん中にいる黒いシャツのおじさんがピックみたいなのを持ってて、そこにこどもたちが輪っかをいれていくという遊び付き。
誰かと一緒に行ったとき、リュクサンブール公園=新宿御苑というと結構わかってもらえる。
来たかったのはここ。メディシスの泉。コロナの間にとてもきれいになりました。でも雰囲気はそのまま。ちょうど泉を見下ろせるところのベンチに空きがあったので、そこでのんびりサンドイッチを食べた。ああ、パリに来たなあ、来れてよかったなあ、と一番実感するのはこういうとき。休みだー!こんなにぼーっとして、私は今休みを満喫しているーーーーーー!!って感じ。
食べながら、ふと、「ここまで来たのなら、ちょっと前に読んだ水原紫苑の『巴里うたものがたり』に出てきたcollège des bernardins(コレージュ・デ・ベルナルダン)までも歩いていけるのでは?」と思い立つ。どこかまで地下鉄に乗ってもいいけど、パンテオンとか前を通ったこともないしな、と移動をはじめた。
予想の3倍遠いな!と思いつつ、てくてく歩く。
パンテオンの前、折り紙でつくったみたいな竜がいた。
コレージュ・デ・ベルナルダンは、パリ最古の中世建築のひとつ。現在は教養講座、専門講座に図書室と学びの場で、無料の美術展やコンサートがあったり、なにより講座は誰でも望めば受けられるっていう開かれた文化教養施設だそう。いつか公開講座とか受けてみたい。この長い廊下は、このたてものがもともと修道院だったから。売店では、今もたくさんの修道院でつくられたお菓子とか文房具などが売られている。
開かれた、とはいうものの、用もないのにうろうろするのも気が引けると思っていたけどちょうど企画展をやってて
やっぱり、入ってきょろきょろっとしたところで親切なご婦人が「どうしたの?」と声をかけてきてくれましたが、「企画展を見に来たんです」と理由が言えたんでよかったです。ここがなかなか難しいところで、「ちょっと見に来た」とか「興味があって」とかいうと、100パーセント善意の「説明しましょうか?」が出るでしょう。「いや、そこまでの興味はなくて」とも言えないし、聞いてもよくわからないだろう(フランス語能力の問題で)っていうのもあるし、かといって「一人で大丈夫です」っていうのもはたから見てると全然大丈夫じゃなかったりとか、とにかくこういうときに何かしらの言い訳を用意しておくことが必要だと旅行人生で学んだ。
サンジェルマンデプレのほうにもどってポンデザールを渡り、新しくなったサマリテーヌを見に行こうと決める。昨日も激歩きをしたからか、感覚がおかしくなっていて、カフェがかわいいと聞いていたフィンランド文化会館の前を通れるはずだから歩いて戻ってそこでお茶することに。遠足並みの歩行距離になってることに気が付いていない。しかもフィンランド文化会館は休みだったので、メトロかバスに乗るべきだったとちょっと泣きそうになった。
さすがに疲れて、オデオンのFou de Pâtisserie(フー・ド・パティスリー)でお茶。なんとアイスコーヒーがあった(パリではほとんど見ない)。ここは、いろんな有名パティスリーの商品が集められているお店。ほんとのお店のほうは行列でも、ここでは並ばずに(種類は限られるけど)すぐ食べられたりとか、あとそんな何軒も回れないよ~ってときにポイントを抑えたセレクトで複数のお店のウリのお菓子が食べられるので便利だと思う。お試しという位置づけなのか、「ボナペティ(召し上がれ)」じゃなくて「ボンデギュスタシオン(デギュスタシオン=試食)」って言われた。アンジェリーナのフレジェ、ねっとりしてておいしかった!
サンジェルマンデプレのあたりもちょっとぷらぷら。キャラバンですてきなマグカップを買った。おっきいやつ。
パリで一番好きな橋、私と一緒にパリに行くと絶対渡らせられる「pont des arts(ポンデザール)」は工事中だった。がっかりしないわけではなかったけど、よく見るとぼろっぼろだったので、そうだね……って納得。両側に南京錠がごっちゃりついていたのは昔の話。今は透明なプレートが欄干を覆ってる。
反対側に渡って、ルーブル美術館の裏庭みたいなところを抜けて右に折れると、若者エリアに代わる。お洋服とかも手ごろなお店がいっぱい並んでて好き。左に行くと高級エリア。この日は右に向かってしばらく進むと、リニューアルオープンしたサマリテーヌがでん、ぴかー!と出てきた。
美しい壁画や手すり。
この雰囲気は昔のまま。なつかしい。私が初めてパリに行ったのはもうすぐ閉店、くらいのとき。床にベニヤが敷いてあるし、暗いし、むちゃくちゃ閉店セールの雰囲気が出ていたけれど、置いてあるものがちょっと面白かったのとセールで安かったので何度か通った。
リニューアルオープンしたあとは、高級志向に代わってた。ヴィトンの本店は目の前だし、ちょっと戻ってルーブルの向こうへいけば屈指のブランド街であるサントノーレ通りはあるし、さらにはラファイエットもプランタンもあるのに、売れるのかな?と余計な心配をする。
私の場所じゃなかったな、と早々にお店を出たら草間さんがいた。
どん。デパートの扉を出たとこ。この距離にヴィトンあるのに、なんでデパートの中でもヴィトン売るかね?
どどん。ここにいるとは知らなかったので、ええええええと声が出るほど驚いた。サマリテーヌのドア係のお兄さんも「でかいよな」と言っていた。
お土産、お土産を買わないといけないと、(さすがにメトロで)ボンマルシェに行く。お気づきかもしれませんが、私はボンマルシェが好きです。
書籍売り場を冷やかした後、1階のイベントコーナーで友達のお誕生日プレゼントにポーチを(自分にも買ってお揃いにしよ~♪とウキウキしていたが、帰国後母に取られた)、地下の紳士服売り場で父のポロシャツを買い、先日のお皿をあきらめきれずにまた眺めに行った後(やはり買わない)、食料品館にて爆買い。トリュフバターとか、乾燥セップ茸とか、お菓子とか。最後にお夕飯のおかずを買って、ホテルに帰る。
お夕飯は中華お総菜売り場で買った、鴨とグリル野菜。ごはんとおみそ汁。マグカップはこの日に買ったやつ。鴨、オイスターソースの味付けで「こういうの待ってた」と体が喜ぶ感じがした。おいしかったので、次回の旅行でも食べたい。
デザートはパンナコッタと桃。市場で買った桃はこれでおしまい。
なんで今日はこんなに歩くことになったんだ?ゆっくりしようとか思ってなかったっけ?と不思議な気持ちで寝た。