バスクリン

サガワフミヤ
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バスロマンという名前だった気もするけど、小さな時のことだから正確なことは思い出せない

彼女が「きき湯」を買って返ってきたから、ノリノリでお風呂を洗って、シャワーを浴びていざパッケージを手に取った。すると、隅っこに「BATHCLIN」の文字。きき湯はバスクリンだったのだ。きき湯は生まれて初めてだと思っていたけど、そうなると話が違う。途端に親近感が湧いてきた

サステナブルだとかで硬い金属缶パッケージでは無くなったようで、スプーンで1杯をすくってお風呂に入れた。すかさず自分も風呂に入るも、効き湯は粒が小さいからすぐ溶けて消えてしまった

しかし、残る香りは明らかに良く知るものだった

小さい頃よく泊まっていた祖父の家の風呂は、背が小さいから立って入ることが多かった

暑い日は帰るなり真っ先に風呂に入って、スイカを頬張っていた

徹夜で試験勉強をした朝、なんとか目を覚まそうと朝焼けの中熱い風呂に入った

全てがバスクリンと一緒だったわけではないけれど、不思議とお風呂との思い出が溢れ出した。たまにあるつらい思い出も、なんとなくすっきりとした気持ちで受け入れることができた

きっと「きき湯」の「はちみつレモンの香り」のおかげに違いない

怒涛の一年に少し疲れていたけど、はからずして自分と向き合うきっかけをもらえた

これからもいろいろな出来事がある

その時はまた、お風呂にお世話になろうと思う