宮下奈都さんの小説「羊と鋼の森」は何度も読んでいますが、今回は「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、闘志とか、そういうものと似てる何か。俺はそう思うことにしてるよ」という柳さんのセリフがグッときました。
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「羊と鋼の森」宮下奈都・著(文春文庫)
今日は、この本の中の好きな言葉をここに書いておこうと思います。
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「焦ってはいけません。こつこつ、こつこつです」
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運があるとかないとか、持って生まれたものだとか、考えてもしかたのないことを考えはじめたら、ほんとうに見なきゃいけないことを見失ってしまいそうだった。
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ここでやっていく。その誇りを持たなくちゃいけない。
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「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、闘志とか、そういうものと似てる何か。俺はそう思うことにしてるよ」
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「歯がゆいなあ。がむしゃらにがんばりたいのに、何をがんばればいいのかわからない」
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「どんなことでも一万時間かければ形になるらしいから。悩むなら、一万時間かけてから悩めばいいの」
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自分だけがつるんとしている感じがした。山にいると、手に入れられる情報にも知識にも限度がある。生活するのに町よりも手間暇がかかるから、些細なことにいちいちこだわっていられないという部分もあるかもしれない。
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「ノートを取るくらい素直だったら、って思うことがあるよ。仕事を始めてすぐに大事なことをいっぱい見聞きするんだ。それをメモしておけば、もっと早くコツをつかめたかもしれないのに。手間を惜しんだってより、勘違いしてたんだな。技術は身につけるものだから、身体で覚えるだろうと思って」
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もちろん、言葉で調律のすべてを書き表すことなどできない。百分の一も、千分の一もできない。わかっているから言葉には頼らない。だけど、調律の技術を言葉に換える作業は、流れていってしまう音楽をつなぎとめておくことだ。自分の身につけようとしている技術を、虫ピンで身体にひとつひとつ刺していくことだと思う。
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「口にしないだけで、みんなわかってるよ。だけどさ、才能とか、素質とか、考えないよな。考えたってしかたがないんだから」
(中略)
「ただ、やるだけ」
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以上。
仕事をがんばりたいなと思うときに、この小説を読むとなんだか力が湧くのです。御守りみたいな感じです。