朝からサラ・ブライトマンが "Time to say goodbye" を熱唱している。それに合わせて上がる叫び声。別の部屋からは「湿布貼ってくださーい」と声が掛かる。グループホームは朝から騒々しい。
私は検温して回る。「今日も絶好調?」「今日も絶好調ですね!」「今、準備中です!」「はい、準備してください!」成り立ってるのか成り立ってないのか、よく分からない会話。
朝食中はなんとなく見守りながら記録に専念する。「それは誰の?」と聞かれて「◯◯さんのですよ〜」と答える。私は基本笑顔だ。というかほとんどいつも笑顔だ。楽しいからではない。笑顔で愛想良くしてれば、大抵のトラブルは避けられるからだ。「情けは人のためならず」とはよく言ったもの。
朝食は完食する人もいれば盛大に残す人もいる。「頂きます」「ご馳走様でした」は言ったり言わなかったり。麺類をスプーンで食べる猛者もいる。でもそれでいいのだ。『バカボン』みたいだけど、みんなそれでいいのだ。
「頂きます」「ご馳走様でした」を言うよう強制させることもできる。でもその労力で得られるものは何? みんなのビクビクした顔? だったら他のことで頑張りたい。
というわけで今日も私は笑顔だ。