教会が解散した約10年前、カルト牧師から解放された安心感と、人生これからどうすればいいんだろうという不安感でしばらくアンビバレントな心境だった。人生の軸がすっぽり抜け落ちてしまい、まわりの歯車だけが惰性で空回りしているような、頼りない状態。
特に約20年間を棒に振ったのが大きかった。看護師としてのキャリアに大きなブランクができていたし、貯金もなかった。同期で就職した連中が主任や管理者になっていたり、マンションを買ったりしているのに、自分には何もない。ちょうど老後に2000万円が必要になるとか言われた頃で、軽く絶望したのを覚えている。まったく、神も仏もないじゃんね。
そんなとき励みになったのは、私と同じく教会解散を機に就職した信徒たちの存在だった。私より不利な状況だった人も少なくない。その1人が言った言葉を、今でも覚えている。「まあ今からでも、できることをするしかないですよね」
そりゃそうだよね、とも思う。起きてしまったことを後悔してもどうにもならない。もちろん理不尽だけれど、それはそれとして自分の人生を生きなければならない。昔好きだった米ドラマ『Life Goes On』は直訳すると「人生は続く」だと思うけど、まさにそんな状況だ。それでも人生は続いてく。(次回に続く)