一瞬でダサくなる

fuminaru
·

 邦画『ベイビーわるきゅーれ』を見た。

 「殺し屋の少女たちが社会になじむため奮闘する姿を描いた異色青春映画」というフレーズにやられて見た。面白かった。アクションも笑いもセンス良いと思う。伊澤彩織が色々なバイトをして「自分は社会不適合者だから普通の仕事なんて無理だ」と気づく姿には、勝手にカタルシスを覚えた。

 人間、こうやってアイデンティティに気づいていくものじゃない? と。

 心理学の講義で「アイデンティティの確立」という言葉を習ったけれど、それって「確立」するものなの? と常々不思議に思っている。既に確立されているものに「気づく」だけじゃないの? と。

 それはさておき、伊澤彩織と高石あかりの会話で面白かったのが冒頭のこれ。

 「バイト先の店長が『夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ』とか真顔で言ってきた…」「そういう人ってさ、怖い話とかしてる時に『本当に怖いのは幽霊じゃなくて人間だからね』とか言いそう」「うわー言いそう。なんかそういう人、『好きの反対は嫌いじゃなく、無関心』とか言ってきそう」

 そして二人で笑う。SNSで時々見かける「良さげな言葉」が一瞬でダサくなる。彼女らにかかれば、私の「アイデンティティは確立するものでなくて気づくもの」もキショくてウザい言葉になりそう。もう何を言ったらいいのか分からない。

@fuminaru
Listen before I go.