よく「そんなに頑張らなくていい」「競争社会から降りればいい」というような言葉をかけられる。優しさは嬉しいけど、言われるたびに少しイラっとする。
そうした言葉をかける人間と私とでは、違う世界が見えていると思う。彼らは私たちが「お互いを傷つけあう競争社会に生きている」と見えているんだと思う。でも、私たちの周りの誰も管理者なんかになりたくないし、嫌々出世しているように見える。そうしないと誰かが困るから。
貰っている賃金の分だけ働いて、それ以外は契約外だから働かない。言っていることはとても正しいと思う。誰にも咎められない正しい理屈だと思う。
その一方で、それは本当に「自分の人生を切り売り」しているという感覚に陥ってしまう。コミューンに奉仕して人を幸せにする、その物語の中に自分を置かないでどうして頑張れるんだろうと私は感じる。
そうした「みんなが困るから頑張る」からみんなが降りると、「貴方も困る」。強迫みたいな物言いになってしまうけど、それが分かっていて「そんなに頑張らなくていい」と言っているのだろうか。
世の中のサービスは、問題発生時に個人がちょっと無理して維持されている。便利さか料金か、どっちかを捨てないと「頑張らなくていい」世界は来ない。
その一方で、私みたいな資本家に都合のいい労働者がいるから、労働者の地位が上がらないという指摘はよく分かる。人に迷惑をかけないと地位は改善されない。