エンゼルセットのラスボス枠、敬吾と神威についてのまとめです。犯罪や殺人、キャラクターの死、鬱展開などの怖い描写が多くあるため、お気を付けください。
以下から神威先生視点のストーリーのざっくりした流れになります。敬吾関連以外は極力削っていますが、エンディングまで書いてあります。
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転生を繰り返し悪事を重ねる血族の噂を知った、呪術医の神威(しんい)。調査の結果、その正体は災禍を呼び寄せる呪いをかけられた、廻(めぐる)という少女でした。彼女は大災厄の発生を予言し、神威に自身の魂の滅却を依頼します。呪いは廻に向けられてきた悪意によって膨れ上がり、すぐには対処の出来ない状態です。廻を人類から遠ざけ、呪いを癒し弱体化させるために、神威は箱庭と人造人間を用意しました。
人造人間に納める良質な魂を求め、神威たち製造者は善性の強い人間を集めます。主人公の砌(みぎり)と敬吾(けいご)も、そうして拉致されてきました。他人でありながら互いを守ろうとする姿勢に利用価値を見出した神威は、ふたりを勧誘します。砌はそれを拒んで死亡し、人造人間に造り替えられました。敬吾は命乞いをして製造者側に付き、防衛本能から彼らと親交を深めていきます。
ある日、神威は廻に向けられる深い憎悪を感知しました。彼女への影響を危惧して捕らえた人物は、兄の行方を追っていた敬吾の弟と判明します。砌は兄弟を逃がそうと動きますが、製造者たちの仲間となって犯してきた罪の意識に苛まれ、敬吾は弟を殺してしまいます。精神を病んだ砌に相談され、神威は製造施設から箱庭への移住を許可しました。一方で敬吾は仲間に対して更に献身的になり、彼らと疑似家族のような関係を築くのでした。
人類を大災厄から守るという大義名分の下で、少数の犠牲を許容する立場にあった神威は、徐々に疑問を抱くようになります。彼は幼い頃から血族のルールを刷り込まれ、それに順応してきました。家から長く離れたことや、自身とは異なる考えの者と多く関わったことで、固定観念が揺らいでいきます。
砌の移住から数ヶ月後、神威は不自然な眠気に襲われました。すぐに目を覚まして確認をすると、自身に掛けた不死の呪いが発動した痕跡が。夕食に薬が混ぜられていたことを理解し廻を探しに向かう途中で、倒れている敬吾に遭遇します。製造者の中で最後に食事を口にした彼は、まだ生きていました。神威は応急処置を試みますが、それを拒まれてしまいます。敬吾は後悔を吐露し、自分を人造人間にするときは、過ちを繰り返さないように記憶を消さないでほしいと神威に伝え、息を引き取ります。
製造者たちが人造人間となり、廻の魂も新しい身体に移されます。もう施設に存在する人間は神威だけです。神威は記憶の引き継ぎを隠して明るく振る舞う敬吾の気を紛らわせてやりたいと、資金繰りや物資調達を口実に彼を施設の外へ連れ出すようになります。また、神威は実家へ赴くことも増えました。医学の進歩により呪術医志望者が減少する中、次の世代に技術の継承をする必要があります。様々な問題を抱えながらも、神威は穏やかな気持ちでいました。廻のために用意した環境は、彼にとっても心安らぐ場所になっていたのです。
廻は笑顔を見せるようになり、呪いの力も弱まってきました。目的の達成が近いと確信した神威は、人造人間たちの処遇を考えます。人類にとって異物となる彼らを、当初は無に帰す予定でした。しかし今では、それが正しいとは思えません。人造人間の未来は人造人間に託すべきで、彼らが誤った選択をしない限りはそれを支持しようと誓いました。
神威は遂に廻の解呪に成功します。魂の滅却でなく浄化を選んだために大変な遠回りになりましたが、彼女を本当の意味で助けられた気がしました。それを製造者たちにも伝えると、寂しがりながらも彼女が救われたことに皆安堵してくれます。神威は自室に戻りつつ、仲間に施設を出ることをどう切り出すか思案します。大災厄を未然に防いだため、人間の世界に戻れば彼はただの大量殺人犯となります。しかし神威はそれを受け入れていました。
ここを出て行くんですか?背後から敬吾が尋ねます。振り向くと彼の手には包丁が握られていました。神威は刃の鈍い光を前に、私は彼にした酷い行いの報いを、まだ受けていない、と思います。
敬吾の目的は神威の救済でした。自身を含めた人造人間たちの存在を人類史から抹消し、友人の罪を消滅させるつもりです。神威の魂を封じた指輪と亡骸を人質に、彼ひとりに重責を背負わせた呪術医たちを呼び出し、儀式の準備を強要します。代償に敬吾の魂が捧げられる寸前で、砌が駆け付けます。咄嗟に祭壇を破壊した彼は、行き場を失った呪いを受け、生きたままその身と心を解かれてしまうのでした。
数日後、施設の周囲に内側から破ることのできない結界が張られます。困った時はいつでも頼るよう新しい当主に伝え、神威は血族を見送りました。
製造者たちの元へ戻ると、箱庭からふたりの人造人間が訪ねてきます。呪術医たちによって修復された砌と彼らが再会して、ストーリーは終わりを迎え後日談に続きます。
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以上になります。上記がトゥルーエンドですが、分岐のエンディングも用意しています。マルチエンディングがだいすき!
敬吾救出が間に合わず神威の罪と善性がリセットされる。施設内の問題は解決するものの人類に神威が裁かれる。新人類が完成して茉莉(まつり)が外の街をお散歩する。蓮華(れんげ)が廻に大災厄を起こさせて人造人間たちを解放する。業(かるま)から与えられる平和を享受する。などなど。
ちなみに夕食に薬を盛られるシーン、犯人は茉莉です。
製造者たちが自分だけ置いて歳をとっていくのが怖くて、人造人間の殺処分用の薬をスープに入れます。眠るように死ねる夢のお薬です。可愛いね……。製造者たちが人造人間になる前後で、誕生日のお祝いをするときの笑顔が違うという小ネタもあります。
終わりにちょろっと出ている南儀家の新しい当主は千珠(せんじゅ)です。神威が実家に帰る時に敬吾も連れて行くので、ふたりによく懐いています。儀式中はずっとメソメソしてます。可愛い。呪われずに転生した廻と一緒に、別作品にも登場します。
ここまでしっかり出力するのって初めてで、大変でしたが楽しかったです。主人公トリオのまとめもしたいな……。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。