見上げた先に気温が表示されている。生ぬるい夕方、家路に急ぐひともいるし家路と反対に向かうひともいる。
ビルの前にあるこの空間に蓄積しているものは何か。満たしきれない欲望とかささやかな明日への願いとか、たぶんそういうものではない。今この瞬間しか存在しないことを無意識に自覚しているひとたちがこの景色に同化することを試みている。暮れきった頃に、同化しきれなかった自身に気づかされるに違いない。それは失敗ではなく、人生の記念なのだろう。どれだけのひとにとってこの光景が永遠なのだろう。
見上げた先に気温が表示されている。生ぬるい夕方、家路に急ぐひともいるし家路と反対に向かうひともいる。
ビルの前にあるこの空間に蓄積しているものは何か。満たしきれない欲望とかささやかな明日への願いとか、たぶんそういうものではない。今この瞬間しか存在しないことを無意識に自覚しているひとたちがこの景色に同化することを試みている。暮れきった頃に、同化しきれなかった自身に気づかされるに違いない。それは失敗ではなく、人生の記念なのだろう。どれだけのひとにとってこの光景が永遠なのだろう。