六月十二日

夏や冬は突然やってくる。春や秋がじわじわとやってくるのと対照的に。自分勝手で暴力的な季節といえる。そういう性格に惹かれてしまう機能が誰の内面にもある。スマホアプリが備えるすべての機能を使いこなせなくてもそれほど困ることがないように、自分の本能に気づいても気づかなくても幸せなひとは幸せのままだ。

夏が本気を出すタイミングを伺っている。埠頭に停めた車の中で飲むコーヒーは、失恋を絞り出しきった色をしている。

@furuihasami
日記のようなそうでないような散文を書きます。筆名は小川未明の作品から。これまで書いた韻文は slib.net/a/26091