5月27日
雨が降る月曜の朝
閲覧不可の水平線
湿ったままの衝動
恋に気づいた素数
左足から靴を履く
5月28日
夏ごっこの準備で
うしろめたい歩幅
眩惑は終局を見ず
窓の数だけ裏切る
日陰の引力は煩く
白眼に沈む踊り手
初夏は歪曲の地図
素直には帰れない
5月29日
やさしさを手に宿し
星を売る路地裏の店
主流派の寝息は漏れ
ぼくには遠い遊園地
街灯が壊れた夜道を
きつねの親子が歩く
満天の寂しさを眺め
大同小異の四面楚歌
5月31日
青のない空の迷路
気温は現実を離脱
微熱は街を揺らし
愛または雲の忖度
整う正義は逃げて
崩れてしまう要所
地下に巡る懐古は
唄を忘れた消火栓