六月二十八日

ふるいはさみ
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公開:2024/6/28

遠慮がちに電車が滑り込んでくる。青空の成分の何割かを受け取ってぼくは、一日を始めることに躊躇している。

車窓からみえる鳥居のその向こう側は決してぼくの知らない世界ではない。それなのに手が届かないような気がして、こういう感覚を孤独というのだなと認識する。

週末でみな浮かれているようだ。大海の孤島のようにぼくは、流されたくないと思ってしまう。素直じゃないなと言われて、素直の定義は積乱雲となる。

@furuihasami
日記のようなそうでないような散文を書きます。筆名は小川未明の作品から。これまで書いた韻文は slib.net/a/26091